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収録終わりのテレビ局。
楽屋の一部屋を借りて、5人だけの話し合いの場を作ってもらって。


俺は、とにかく……事実だけを、話した。





話し終えて……俺は、俯いた顔を上げることが、出来なかった。


みんなが……どんな顔してんのか、見るのが、怖くて。




「それじゃ、翔ちゃん……嵌められたってことじゃん……」

その言葉に、恐る恐る顔を上げると、
目を赤くした相葉くんが、俺を見ていた。


「ひどいよ、絶対、わざとじゃん」

相葉くんの目から、今にも涙が落ちそうだった。


俺だけじゃない。
みんな、少なからずこんな思いをしてきた。

有名になるにつれて、近づいてくる新人タレント。女優の卵。モデル。

みんな、俺の事が好きなんじゃなくて、俺の、名前や立場を目当てで近づいてくる。

そうやって、裏切られてきたんだ。


最近は流石に少なくなっていて……油断していた。



「だけど、やっぱり翔さんの落ち度もあるよ。脇が甘いっていうか。翔さんらしくないじゃん。撮られるとか…そんなこと、考えられないはずないでしょ?」


「ああ……。申し訳ない……」



松潤の言葉に、返す言葉も無い。

いくら後悔したって、起こったことは戻せないんだ。
わかっていたはずなのに。





「でも、これって……翔ちゃんのお父さんお母さんも了解済みでの、事なんでしょ?
それじゃ、仕方ないよ……。」


悔しそうに相葉くんは、唇をかんで俯いた。


「だとしても、きちんと断ってすぐ帰ってくることだって出来た。
それを、共演者だから、って安心してた、俺も悪かったと思ってる。

親の立場だったり、しがらみだったりをいちいち考えてる場合じゃなかったって……反省してるよ」


もう1度、頭を下げる。



「で?事務所は、何だって?そうとう怒られたんだろ?」

「うん、この件に関しては、ノーコメントを貫くことにするって。
向こうが何を言ってきても。
だから……ごめん、みんなにも迷惑かけることになるかもしれないけど、よろしくお願いします」



実際、仕事もやりにくくなる面もあるだろうし。


俺は、皆の方を向いて、丁寧に頭を下げた。





コンコン、とノックの音が響いて、開いたドアからマネージャーが顔を出した。


「そろそろ、いいですか…?もう、出ないと…」


部屋も返さなきゃいけないし、なにしろみんな忙しいから。


5人の話し合いは終了して、それぞれ次に向かうことになる。



俺も、まだ取材が残ってて……


だけど、だけどアイツに、話をしたい。
話しておきたい。



「ニノ!」


呼びかけた声は、パタン、と閉まるドアの向こうに消えた猫背に、届くことなく消えていった…。








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