〈side J〉
「ねえねえ、ちょっと、松潤」
五人の楽屋、みんな揃って、スタンバイの声を待つ時間。
コーヒーをカップに入れて椅子に座ろうとした俺に、相葉くんが声をかけてきた。
翔さんはテーブルに資料をバーっと並べて熱心に調べ物。
ニノはソファーの座面に両足を乗せて、膝に顎を乗せるようにしてゲームに集中。
リーダーは、その、ニノが座ってるソファーの同じ座面に丸まって眠っている。
狭いソファーにちっこい二人がまとまっていて、なんだか可愛い。
特にリーダーは、くるんと丸まってて…なんだか猫みたいだ。
ふふ、となんとなく笑った顔になりながら見ていたら、相葉くんがどすんと隣の椅子に座った。
「あのさあ、こんな事言うのもなんなんだけどさ……」
「なに?」
珍しく?真面目な顔で話す相葉くんに、ちょっと警戒。
なんなんだ、いったい。
相葉くんは、声を小さくして俺の耳元で囁いた。
「リーダーにちょっと、無理させてない?ずーーっと寝てるけど」
「無理?何が?」
「や、だからさ……ゆうべも松潤とこ泊まったんでしょ?ちょっと激しすぎるんじゃないの?」
「……何の話?」
「付き合い始めは仕方ないかと思うけど、リーダーももういい歳だし、あんまり激しすぎたら身体に負担もかかるし。アレって結構きついよ?オレなんか翔ちゃんに、次の日休みの日にしてねってお願いしてるけどやっぱり腰とか痛くなって」
「……は?だから何の話?」
「え?え っちのはなし」
ぶっふぉ!!
思わずコーヒーを吹き出す。
「もー、松潤何してんのー」って半笑いしながら、ティッシュを取ってくれる。
「なんだよ、それ!な、な、なんでそれ……」
「えー。見てたらわかるよ。リーダーのこと見る松潤、デレンデレンだもん。え?まさかバレてないとでも思ってたの?」
「マジか……」
そう、俺の猛アタックにリーダーが、…智が折れて付き合い出したのは、つい先月の話。
メンバーにはいつか言おうと機会を伺っていたのだけど。
「えー、みんな知ってるよー」
マジか……。
がっくりうなだれて手の中のコーヒーを見る。
そんな俺の肩をぽんぽんと叩いて相葉くんは、
「ま、ふたりが幸せならそれでいいんだけどね」
そういってニカッと笑った。
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