てっきり翔さんも、喜んでくれるって、思ってた。
だって、確かに俺は以前聞いたんだ。
「ニノが好きなんだ」っていう、翔さんの切ない声を。
だけど…。
あの時、俺は相葉さんの事を想っていたけれど、今はそうではないように、
人の心は移り変わっていく。
「そういうこと、なのかな…。」
声に出して呟いてみたら、鼻の奥がツンとして。
涙が、ぽろりと零れた。
気づいた途端に失ってしまった恋を抱えて、俺は東京に帰った。
帰りの飛行機でも、移動車のなかでも、翔さんの様子は普段と全く変わらなかった。
いつものようによく喋って、笑って。
俺も、それにいつも通りに返す。
そうするしかなかったから。
なんだか…こころにぽっかりと穴が空いたような気分で、毎日を過ごしていた。
仕事の時は、いつも通り。
翔さんとも、ちゃんと目を合わせてタイミングをはかる。
だけど…。
仕事のあと、決まったように行っていた翔さんとのメシは、ぱったりと行かなくなっていた。
そうしたら、なんか別に食わなくてもいいや、なんて思って、
メシも食わずにゲームに没頭するようになって。
取材に来てくれた編集者さんとか、テレビ局のスタッフさんとかにも、二宮さん痩せましたね、なんて言われるようになって。
このくらいがベスト体重かなー、なんて笑って答えて。
何度か、相葉さんがメシに誘ってくれたけど、なんだかそんな気分にもなれなくて、適当な言い訳をして断って。
1日1日を、ただただ消費するような毎日が続いていた。
.