俺、自分で自分が残念でならないんだけどさ…。
俺、アンタの笑顔が…好きなんだ。
アンタを笑顔にするのが、俺じゃなくても…
アンタには、笑顔でいてほしいんだ。

俺がアンタの背中を押して、
それが結果的に俺の想いを諦めることになったとしても、
俺は、アンタが幸せでいられる方を選ぶよ。


残念でしょ?俺。そんな事が、俺も、幸せなんて、さ。



ふふ。つい、笑いが出た。

そんな俺の様子を見ても、相葉さんの表情は、硬かった。

ふるふると首を横に振る。



「オレ…オレは…。無理だよ。

ダメだよ…。

そんなの…。オレだけ、幸せになるなんて…」

「相葉さん!」



俺は、相葉さんの肩を掴んで、顔を覗き込んだ。




「俺があの日言ったことは、本当。

それは、確かに本当だった。

自分勝手だけど、訂正したりはしない。

だけど、この気持ちも、本当だよ。

相葉さんが幸せになることは、俺も、幸せになる事なんだ。

わかる?

アンタ、潤くんの顔見ても、同じこと言えんの?

自分の気持ちに、嘘はつかないでよ。

ね?まーくん。」




出会った頃の呼び方で、相葉さんを呼んだ。


相葉さんは、俯いて、でも…とかなんとか口の中で言ってる。
この、頑固者!




コイツ、優しそうな見た目に反して、意外と頑固。
自分の意思を曲げようとしない。

だけど、これは、意思じゃなくて、意地だよ。

意地を張らせてしまったのも、俺のせいなんだよな、と思うと…ホントに悪いことしたな、って思うけど。

それでも、もう、言っちゃったもんは取り返せない。

だから、俺がこの人のために出来ることは…。





俺は、スマホを取り出して、電話をかけた。



「もしもし、潤くん?

今から相葉さんち、来れる?」

「ニノ!何やってんだよ!」


慌てて俺のスマホを取り上げようとするから、逃げながら話した。


まあ、潤くんは、すぐ行く!って叫んでそのまま電話を切ってしまったから、そこまでもみ合う必要もなかったけどね。





「じゃ、俺、帰るわ」

「ええっ!なんで?!」

「なんでって…。」

この期に及んで、なんで?って。
そういうところが…好きだったんだよな…。
ふふ。まだ俺、そんなふうに考えたりして。

およそ20年培ったコレは、今更変わらないですよ。うん。


俺は、ポンポンと相葉さんの肩を叩いて、

「潤くんとちゃんと話しなよ。本音でさ。」

そう言って、笑った。









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