《side A》






「はぁ……。」

ひとりの楽屋で、オレは、今日何度目かのため息をつく。





潤くんと、距離を置きはじめて…もうどのくらい経ったかな。




ニノに、告白された。




知らなかった、とは、言えない。

本当は、気づかないふりをしてた。



こんだけ長い間一緒にいるんだもん。
気づかないわけないよね。


ニノが…オレを見る目は、

いくら、ぶっきらぼうにしていたとしても、怒ったふりをしていても、
いつも、優しくて、愛情に満ちていた。

自惚れなんかじゃないと思う。


時々、すごく切ない目をしてオレを見ていたの、知ってるよ。



だけど…。

アイツは必死に、それを隠そうとしてた。
きっと、誰も気づかないくらいだったと思う。
他の人だったら…オレぐらい、近くにいなきゃね、気づかなかったと思うよ。


だから、ニノが言わないのなら…
オレは、気づかないふりをすることが、正解なんだって思ったんだ。
アイツが必死で隠して、嘘をつき続けるなら、それを受け入れることがオレのできる事だって、これでいいんだ、って。




そんな時、潤くんに…告白された。


ニノと同じように、ジュニアの頃から何かと一緒になることが多くて、
その頃は、弟ができたみたいに思っていただけだったんだけど。


同じグループになって、潤くんはどんどん大人になって。
ストイックに自分を高めていく姿にも、仕事に対する姿勢にも、尊敬出来るところが沢山あって。
燻っていた嵐の、道を切り開いてくれたひと。



クールに見える潤くんだけどね、
実際は、見かけの100万倍は優しいんだ。
あったかい、気づかいのひと。



共演者の皆さんにも、スタッフひとりひとりにも、気を配って、声をかけて。



それでいて、あの頃のままの少年のように笑う笑顔が…
オレは、少しづつ、気になり始めてた。




一緒にサーフィンしたり。
WBCみにいったり。
ふたり共通の思い出を、ひとつひとつ増やしていく度に、
オレは、潤くんにどんどん惹かれていっていたんだ。