相葉さんの目から涙が、ぽろっとこぼれた。

それは、宝石よりも、夜空の星よりも、綺麗だった。
キザだよね。ふふ。
でも、本気でそう思えたんだ。

こんな時でも…相葉さんは、綺麗だ。




相葉さんは…
唇を噛み締めて、流れる涙もそのままで、俺に向き合った。




「ニノ。ありがとうね。
オレを好きでいてくれて、ありがとう。


オレもニノのこと、好きだよ。
大好きだよ。


でも、ごめん。
ニノの想いに応えることは…できないんだ。
…ごめんね。」



ぽろぽろと、流れる涙が、相葉さんの顔を濡らす。
震える、かすれた声で、それでもはっきりと、そう言った。





「ニノ、ごめんね。泣かないで?」


相葉さん、可笑しいな。泣いてるのは、アンタでしょ?
相葉さんの手が、俺の頬を撫でる。
あれ…俺、泣いてるんだ。
そのとき、初めて気づいた。



なんでだろ…。斬ってもらえて、嬉しいのに。




「ニノ!」


ガバッ、と、相葉さんが俺の身体を包んだ。
涙が俺の肩をじわじわと濡らす。
あ、俺もか。相葉さんの肩に、顔をうずめた形になってる。



「ニノ…。恋人には、なってあげられないけど、
これからも、オレの親友で居てくれる?」




この人は…また、酷なことを言うよなあ…。


この体勢だって…。今振ったヤツにこういう事するかなあ?
でも…それが、相葉さんだ。
俺の大事な……親友。




まあ、そういう『特別』もいいかな。
なってあげますよ。ほかならぬ、アンタの頼みだもん。





まだしばらくは、胸も痛むだろうけど。

相葉さん。
まーくん。
ちゃんと言ってくれて、しっかり振ってくれて、ありがと。


 
これで俺も、先へ進める。




俺、まーくんを好きでいて良かったよ。





俺たちは、そのまま、お互いの肩に涙と鼻水をを吸い込ませながら、泣いていた。



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