そう。俺は、相葉さんが好きだ。
メンバーとしてじゃない。
そういう意味で好きだ。
手をつないだり、抱きしめたり、キスや…それ以上の事だってしたい。
そういう意味で。


いつからかって?
そんなこと、意識したこともなかったよ。
子どもの頃から、俺の隣に相葉さん、相葉さんの隣に俺がいるのは、当たり前のことだったから。
その後、同じグループになって。
親友として好きなんだと思っていた想いがそういう…感情なんだって確信に変わったのは、そう、相葉さんが病気で入院した時だったかな…。

胸がつぶれる思いがした。

相葉さんが居なくなっちゃったら、どうしよう、って…
不安で不安でたまらなくなって。
その時、思ったんだ。
この人を失いたくない。ずっと一緒に居たい。
好きなんだ、って。





こんな不毛な想い、持ち続けたって意味がない、
諦めなきゃって何度も思った。
彼女を作ったことも何度もあった。
最初はそれなりに、好きだったよ?
カワイイ子に好きって言われて、悪い気はしないし、えっ ちも気持ちいいし。
だけど何だか、俺の気持ちが女の子のそれについていかなくなって…。
うまくいかなくなっちゃった。
わざとスクープされて、別れてみたりね。ほら、ワタシ優しいから、こっちから別れてなんて言えないのよ。

なんて、狡いだけ。わかってる。




だけど、俺の相葉さんへの想いは募るばっかりだった。
兄弟みたいにずっと一緒に居たから、お互いをよくわかってるんだ。
馬鹿なふりして本当は周りをよく見ているアイツ。
俺のフリにうまく乗っかってボケてくれる、呼吸とか。
あ、もちろん天然のときもあるけどね?
いつもは明るく優しい相葉ちゃんって感じなのに、俺には年上ぶって乱暴な口の利き方をしたりするところも、何だか特別な関係っぽくて。
しかも、あの見た目よ?
コレ、好きにならないわけないよね?
そうでしょ?





だけど。
俺とあの人は同じグループのメンバーで。
男同士で。
相葉さんにも彼女とかいたことあったし。



諦めなきゃって。
こんな恋してちゃダメだって。
報われないって。
そう思ってたわけですよ。







そ!れ!な!の!に!










あの日。
5人のレギュラー番組の楽屋で、5人だけになった時、潤くんが、めっっっっちゃオトコマエの顔で、


「俺達、付き合うことになったから。」


って。


「皆には迷惑かけないようにするし、仕事はちゃんとやるから。だから、見守って欲しい」


とかなんとか、とにかく、もんのすっっっごく、かっこよかった。

横には、はにかんで笑う相葉さん。








嘘だろ…。
ショック過ぎて声も出ない。


暫くして、

「びっくりしたー。え、え、マジで?!」

って大野さんが言った。

翔さんは、俺の顔をチラッと見てから、

「そっか、おめでとう」

って言った。

俺は…

「何よ、仕事中にイチャイチャとかしないでよ?2人ともダダ漏れしそうなんだから!やめてよー?」

って、笑った。

笑えてた…と、思う。





「マジかー!全然知らなかった!なによ、どっちからどうやって付き合うようになったの?」

好奇心丸出しで嬉嬉として聞く大野さんの声を聞きながら、俺は、

「あーあー、空気が甘すぎるよ!俺、ちょっとタバコ行ってくるわ!」って楽屋から出た。







楽屋を出て…廊下をずんずん歩く。
空き部屋を見つけて、中に入った。


「マジかよ…」


潤くん、いつの間に。
…まあ、うっすら気づいてはいたんだ。
相葉さんの視線の先に…いつの間にか潤くんがいるって。
気づかない…フリをしていた。

ていうか、2人ともストレートじゃなかったの?
男もいける方だったのか?
じゃあアレか。
もしも、俺が先に言ってたら…
相葉さんの隣に居たのは俺だったのかな。


そんな今更なことを考える。ザワザワと波だった心はより一層落ち着きそうもなかった。
ドアに背中をつけて、ズルズルとしゃがみこむ。


「マジか…。」


当たり前みたいに居た相葉さんの隣は、もう、俺の場所じゃ無いんだ…。
思った途端、ボロっと涙が出た。


「う……うっ…くっ……」


びっくりするくらい、泣けた。

しばらく俺は、誰もいないその空き部屋で、しゃがみこんだまま涙を流していた。




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