《side N》


「聞いてよニノ~!」


今日は相葉さんと2人の仕事。テレビ誌の撮影。
定位置に座ってゲームの電源を入れた途端、相葉さんが飛びついてきた。


「何なのよいったい。朝から騒々しいな~」

「だって聞いてよ、潤くんったらさあ…」


相葉さんと潤くんは、最近付き合い始めたばかり。
どっちからどうやって付き合い始めたのかって?知らないよ。知りたくもないよ。
知りたくもないけど、知ってる。
この人、嬉しそうに何でも話してくんだもん。

だってぇ、ニノにしか言えないよー、こんなこと!とか言って。


ノロケまくってんのよ。


今日も、俺は、ゲームしてんだっつーのに、全然気にしないで一方的に喋ってる。






「でさあ、オレが、こないだマナブで教わったお寿司握ってあげたわけ。そしたらちょっと失敗しちゃったんだけど、旨いな、これ、とか言って何貫も食べてくれて」

くそっ、この敵強いな。

「今度これ教えてくれた大将んとこ行く?って話になって一緒に行こうかなって」

あー、やば、やられそう。HP持つかな。

「今度オフ重なる日あるかなーって調べたらつぎの日潤くんが休みでオレが半日オフって日があって、それだったらゆっくり出来るねって」

あっ、マジやばい。

「今度こそ勇気出して、お泊りしていいか聞いてみようかと思って」

あっ、くそっ。
俺の手の中の勇者は倒れた。
ゲームオーバー。

「ちょっと、ニノ、聞いてんの?
どう思う?付き合いたてで早すぎる?
潤くん引かないかな。」




知らないよ。知りたくもないよ。
アンタと潤くんがいつデートしようがお泊りしようが俺に関係ないでしょうよ。




そう、関係ないんだよ…。





俺は、笑顔を作って顔をあげた。


「いいんじゃない?早すぎるってことないよ。潤くん、アナタにメロメロだし。」

「えええ~。そうかなあ~。」



デレデレと笑う相葉さんの顔を見ながら、俺は、ため息を噛みころした。