まずはBGMをどうぞ!
Bobby Brown - Rock Wit'cha
~~前回までのあらすじ~~
うっかり失くしてしまった大切な手帳。
もう諦めかけていたところに警察から電話が!
なんと、落し物として届けられていた。
誰か心ある人が届けてくれたらしい。
仕事を終えた帰りに、彼は一目散に警察署に向かった。。。
「あの~、手帳の落し物を引き取りに来ました!!」
お巡りさんは、にこやかに、そしてテキパキと受け付けてくれた。
「こちらで間違いないですよね~?素敵な手帳ですな。見つかってよかったよかった~」
上質の革でカバーされた、長年愛用している手帳だ。
気に入ったものはそう簡単には手放せない。
「おかえり」
心の中で、手帳に話しかけた。
使い込まれた革独特の、手にシックリ来るこの感じがいい。
書類にサインして、一通りの事務手続きが済んだ後、
最後にお巡りさんがポツリと言った。
「あ、それと、一応よかったら、拾ってくれた方にお礼の電話でもしたらいいんじゃない?
番号は。。。えっと~。。。」
番号のメモを受け取って、警察署をあとにした。
”善は急げ”
少し歩いたところに電話ボックスを見つけた彼は、
教えてもらった電話番号に電話をしてみた。
”pururururu。。。pururururu。。。”
なんてお礼を言うべきか。。。なぜだか胸騒ぎがしていた。
「はい」
「あの~、手帳を拾って頂いたようで、本当にありがとうございます!」
「いえいえ、わざわざお電話すみません。」
実は手帳が見つかった嬉しさで、お巡りさんが話していた詳しい内容はよく聞いていなかったが、
どうやら拾い主は女性だった。
穏やかで透き通った声で、しっかりした応対の彼女と話しているうちに、
彼はとっさに口走ってしまった!
「あの~実は~ですね。。。」
「はい?」
「拾っていただいた手帳の中に、来週末に行こうと思っていたコンサートのチケットが2枚入っていたんですが、
なくなったと思って諦めていました。
お礼といっては何ですが、もしよかったら一緒に行きませんか。。。?」
「。。。」
あ"ーっ!まずった!いきなりそんなのダメって言われるに決まってる。。。
「。。。いいですよ♪」
。。。えっ!?
「ほ、ほっ!本当ですかっ!?す、すいません、あ、ありがとうございますーっ!!!」
それから。。。
いきなりの急展開に、今何が起こっているのか自分でもよくわからないまま、
たわいのない話をした後電話を切った。。。
コンサートはオリジナルアルバムとはまた違う素晴らしいshowだったが、
隣で楽しそうに聴いている彼女の存在があったおかげで、忘れられない素晴らしい記念日になった。
落とした手帳は、これ以上ない素晴らしいものと一緒に手元に帰ってきた。
そして、その彼女こそが。。。 今、彼の最愛の妻である。
>>>あとがき<<<
運命というものに流されてみるのもいいかもしれないが、
ほんの少しの勇気と行動力さえあれば、そのきっかけから全てが変わってくることもある。
そう、彼も人生を勝ち取った一人かもしれない。
そして、新たに手に入れた宝物を、大切に使い込まれた手帳の様に、
彼はきっと生涯大切にしていくに違いない。。。
ちなみにコンサートに行けなかった弟は。。。ボクだったりして(笑)
Thank you for your attention.OK!!