The Broken Sequencer : KAGAMI | Yokohama Beat Junkie

Yokohama Beat Junkie

自由と孤独、音楽を愛する旅人

2010年5月25日 KAGAMI急逝。

このニュースを知ったのが5/28の早朝、Twitterのタイムライン上で。その事実は静かな水面に投じられた小石の波紋のように広がり、公式ホームページで訃報が伝えられた。過労による心不全、享年33歳。

意味が分からなかった。しばらく受け止められなかった。仕事中に勝手に涙が出た。でもKAGAMIと直接の面識がない僕以上に、盟友DJ Tasakaやデビュー当時から立ち会っているKEN=GO→氏らの方が辛いに決まってる。彼らの身を捻じ切るかのような悲痛なツイートを見れば分かる。

ここ最近になって、ようやく事実を受け止められるようになってきた。これまでKAGAMIの作品について幾つかブログで書いてきたけど、オリジナルアルバムについてはそのうち書こうと思っていた。まさか本人が逝ってから書くなんて思ってもみなかった。

Yokohama Beat Junkie

The Broken Sequencer : KAGAMI

弱冠19歳でフロッグマンから「Y」でデビューを果たし、98年にはフルアルバムをリリース。ディスコティークなイメージが強いKAGAMIだけど、この作品では図太いハードミニマルを聴かせてくれる。ただ、全編に漂うユーモア感覚、跳ねるようなビート、時々使用されるフィルター、随所に挿入されているヴォイスサンプルからは、のちの東京ディスコへの連続性を感じる。「Y」は西城秀樹「ヤングマン(YMCA)」のコーラスをサンプルしたトラック。こんなユーモアセンスがあるのはKAGAMI以外いない。

この後リリースされる「Tokyo Disco Music All Night Long」の大ヒットを考えると、世界に通用するテクノトラッカーとしてケンイシイを継いだ者と言える。その意味では日本のテクノシーンは重要な人材を失ったのだ。