臨床医として、インプラントは必須の治療法になったが、先日こんな事も経験した。
70歳半ばの女性の患者さんの死去を新聞の死亡欄で知った。3世代にわたって通院して頂いているが、深刻な病魔に襲われ、残念ながら願い及ばなかった。先日その息子さんが治療の為に来院された。挨拶の後、お悔やみの言葉を述べさせて頂くと、不意にこんなこと言われた。「先生、母のインプラントは3本でしたか?」と、
部位と本数は数年前とはいえ記憶にあったので、そのとおりだとお答えした。
すると、安堵の表情で、「よかったです。お骨を拾うときに3本確認して拾ったのに残りは無かったようでしたから」と。母は生前インプラントのお陰でよく噛めると食事の時に漏らしておりましたとも。そして、向こうの世界でも良く食事が出来るようにとの、願いを込めてインプラントも一緒に納骨させて頂きましたと、感謝されました。患者さん本人から感謝の言葉を頂くとこは珍しくはありませんが、患者さんの死後もこのような言葉を拝聴したのは初めてであった。自分の仕事が、寿命をを超えて生き続けていることを少なからず実感させられた瞬間だった。