桜が咲いている。
このメンバーでは
和気あいあい間違いなしの国別対抗戦が
楽しみで仕方ないんですけど
(しょーまくんの怪我の具合だけが気がかり…)
録画をようやく全部観れたので(汗)
周回遅れで今さら余韻に浸っております。
そう
熱戦が繰り広げられた
2023年世界フィギュアスケート選手権@さいたまスーパーアリーナの!
良い大会でした。(テレビ観戦だけどね!)
国籍問わず
全ての選手たちに惜しみ無く送られた
あたたかい拍手と歓声…
声援が戻ったことが本当に嬉しい。
選手たちもそれを待ち焦がれていたでしょう。
テレビ越しにも
観客と選手が…会場が一体となり
ここ数年の鬱屈を晴らすかのような熱気が伝わった。
弱点だったペアやアイスダンスの躍進に
日本は本当にフィギュア大国になったんだなあ…と、しみじみしたり。
ここに至るまでには
先人たちのたゆまぬ努力と苦労があり
そのバトンを託されたうちの1人であるこの人は
13年前のバンクーバー五輪で
男子シングルアジア人初メダリストとなりました。
世代交代しながらバトンは受け継がれ
いま日本フィギュアは本当に本当に強くなった。
栄えあるメダリストは勿論
みんな素晴らしかった。
(ランビ様も今や素晴らしいコーチに)
さいたまスーパーアリーナといえば…
ソチ五輪前の2013年全日本選手権に1度行ったきりだなあ。
(血染めのビートルズメドレー観た)
思い起こせば2014年の春
今回と同じく世界選手権会場であった
さいたまスーパーアリーナに
私たちの「音楽の天使」はいませんでした。
満身創痍で戦ったソチ五輪の後(いえ違う、その前からも)
彼には傷つくことが沢山あって
私たちファンも心を痛めました。
去就はハッキリしなかったものの
怪我のことや
当時の状況から
引退になるだろうというのが
おおかたの予想だったので
せめてソチ後の日本開催の世界選手権では
会場を埋め尽くした観客から
万雷の拍手と抱えきれない花束でもって
新しい旅路を祝福してあげたいと思っていました
彼には華やかな舞台がふさわしいから。
なのに
高橋大輔選手は
2014年3月のさいたまスーパーアリーナにはおらず…
しばらく後、引退を発表することになるのです。
けっきょく
ファンが見守る中での
引退の花道は用意されないまま。
日本フィギュアの発展にあれだけ尽くした人なのに
寂しすぎる終わり方ではないか?
これでは彼は報われないし
ファンだって心残りが過ぎる。
日本フィギュア界は恩知らずだし、神様は意地悪だと思った。
(だいぶやさぐれてたんですよ当時の私…)
彼の続けてきた
血を吐くような努力を
否定されたような気すらした。
全てに意味があると言われたところで
私には心から頷くことなど出来なかったし
この理不尽な世界に
なんの意味があるのかなんて分からなくて
失意のトンネルにただ座り込んでた。
(全てに意味がある、は彼の口癖とも言えるものの
実のところ、辛い時期には彼自身が己のその言葉を支えにしていたんだろうと今は思う)
でも
当のご本人が愚痴ひとつこぼさず
先の見えない道を
前向きに進もうとしていたのだから
私ごときの心残りや黒いモヤモヤなど何ほどのものだろう
恨み節ばかり唱えて…我ながらこっぱずかしいったらありゃしない。
と言いつつ
完全に黒さから抜け出せることもなく(苦笑)
それでも
真っ暗って訳でもなくなってきたトンネルを抜ける日を
なんとなーく待ちながら
彼がいろんなことに挑戦する姿を
時にハラハラし
楽しませてもらううち
時は流れ
季節は巡り
幾つもの桜を数え
世界を大きく変えることになる災厄をも含めた
多くの出来事を経験し
うなだれることもあったけど
とにかく私たちはこうして
今年も桜を眺めることが出来てる。
当たり前のことを
当たり前に出来ることに感謝しながら乾杯
2014年から数えて9年。
9度めの桜が咲く2023年
さいたまスーパーアリーナでの世界選手権
まるで何かの答え合わせのように
9年前に私が願った光景が目に映ったけれど
これは引退する人への労いではなく
村元・高橋組という「アイスダンスカップル」の
素晴らしいパフォーマンスを称賛する光景に他ならなかった。
ねえ
こんな幸せってある?
傍らには中身男前な美女パートナーがいてくれて
彼はノーミス演技に嬉し泣きしてるんだよ?
あの歌子先生すら泣かせたんですってよ??
2014年の私に
2023年の私が
「今年の世界選手権では『かなだいバナー』がさいたまスーパーアリーナを歓喜の桜色に染めるよ!」
なんて教えてあげても
とても信じられないと言うだろうなあ(すさんだ目で。笑)
ああ…でもね
引退セレモニーなんかよりずっとずっといいよ。
長いトンネルを抜けた
その先に見た景色は
彼の不屈の精神が掴みとったもの。
彼が意味を持たせたもの。
世の中は理不尽だから
全ての事柄に意味があるなんて
実は幻想なのかもしれない。
ただの願望なのかもしれない。
だけど
たとえそうだとしても
自分の人生に意味を持たせるのは自分しかいない。
そう、まさに「自分次第」
彼は有言実行したのだ。
「全てに意味がある!!
あるにするも なしにするも自分次第!
あせらず、ゆっくり!!」
…あれから9度めの桜の季節を迎えるまでに
ホントにいろいろあったけれど
「フィギュアスケート」を愛する観客が
純粋に良い試合を望み
全選手を称える姿を見ていると
「戻った」のは声援だけではなかったのかなと思う。
長くバラけていた様々なものが
本来おさまるべきところに
ようやく戻ったんだ…という錯覚すら覚え
フィクションであれば伏線回収シーンとでも呼びたくなる
答え合わせ的な光景にカタルシスを覚えた私は
そのドラマチックさゆえ
Dさんが
燃え尽き症候群にでもなりゃしないかと心配しましたが
(何せ歌子先生すら泣かせてしまったらしいし)
「あとわずかで10位」がジワジワ悔しくなってると聞き、ひと安心
だって悔しさがあるなら、まだ続けてくれるかもしれない。
続けてくれるのであれば
11位という結果にだって
やはり意味があったんだろう。
…まあね、たとえ競技会で戦う「現役選手」を退いたところで
彼の挑戦はまだまだ続くと思うので
これからも見守っていきたいです。
ハラハラドキドキ、ジェットコースター人生な彼に
引退の花道っていうのは、あまりそぐわないのかもしれません。
道なき道を切り拓くのが高橋大輔という人。
彼の道は
いつだって夢の途中。