陰鬱な鉛色の空




地面を叩きつける雨粒

目の前にけぶりながら横たわるのは、これまた鉛色の琵琶湖。




そう、ここは滋賀。

雨の日曜日。


あら嫌だわテディってばうっかりさん。

デーリンショー滋賀大津公演(※PIWです)は6日後ですよ

気が早すぎですよう☆






…いえ、そうではありません。

残念ながら私はPIWには行かないし(妻なのにゴメンねデーリン!)

昨日は滋賀県立アイスアリーナではなく

びわ湖ホールへ

英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団の「眠れる森の美女」を観に行ったのでした。






(ホールにPIWのチラシあったからいただいて帰りました♪

前から思ってたけどデーリンポジション端っこすぎない?)



実はびわ湖ホール初めてだったテディ。


いやあ~…

予想してたとはいえ
なかなか…不便な場所にありますネ…(汗)


昨日は全国的に
ひがな一日ずううーーーっと雨降りだった訳ですけれど

最寄り駅である京阪石場駅(なんと改札なし駅なのよぉ~!ビックリ!!)←田舎をディスる田舎者

からは徒歩三分との話だから、と

甘い考えで歩きをチョイスしたところ

駅で電車を降りると

たまたま、ちょうど、よりにもよって、あろうことか、そのタイミングで篠突く雨に見舞われ

たかだか三分の距離なのに

(いいや…三分ではいかんかったような…?)

アタシの足元はビッチャビチャ。

そんなこんなで
しょっぱなからテンション下がりまくり。

熊は毛皮が濡れるのを嫌うんだものー。

遠いわ不便だわびしょ濡れになるわ何てこったい。

ともあれ

いくら私が文句言いでも
天候にまでケチをつけても仕方ない。

席に落ち着くと
オーケストラのざわめきに心ときめき
ちょっぴりHPを回復。

(やっぱり生オケはいいよね!)

チケット購入が遅かったのもあり
座席は四階席だったから
事前に期待していなかったのに

ほぼど真ん中で舞台が観やすいことこの上なし!

オペラグラス使えば文句なしとなりそう!!

熊「アラ~嬉しい良かったわ~

イギリスのバレエ団観るの何年ぶりだろ。

おまけに大好きな『眠れる森…』全幕も久しぶりすぎ!

はあ~もう楽しみ!」

と、すっかりご機嫌がなおってワクテカ。(基本単純)

そろそろ開幕の時間かな、って頃

通訳さんを引き連れたバレエ団ディレクター登場。

熊「これは…おい…嫌な予感がするゼ…」

と思ったら案の定

オーロラ姫役ダンサー(配られた当日のキャスト一覧では「デリア・マシューズ」)が直前で体調不良のため降板

代役は日本人ダンサーとなったとのこと。

(もちろんお名前は発表されたけどワタクシそれを二分で忘却。トリ頭だから)

最初に偉いさん出て来る時って

たいていがこんな話だよね…(><;)

そうかあ…でも仕方ないね。

せっかく「イギリスのバレエ団」を観に来たんだけど

今はどこのバレエ団も国際色豊かだから

ダンサーの人種はあまり関係ないし

演目が好きだっただけで
もともと誰かを観に来た訳でもないしな…

など考えつつも

「代役」という響きに

私はどうも誤解というより夢まぼろしを抱いており

なんかつい



ディレクター「今日の主役が怪我をした!代役は新人お前だ!」(ビシッ!)

新人「ええっ?私が?そんな!」(ビックリ)

関係者たち「ディレクター!無謀です!彼女にはまだ荷が重すぎる!」(オロオロ)

他ダンサー「まあ!なぜ私たちを差し置いてあの子が!?」(ヒソヒソ)




…みたいな小芝居的やりとりが浮かぶのです。

子供の頃、少女漫画を読みすぎたんだろうか。

普通に考えたら

数週間続く海外ツアーに
オーロラ姫役がひとりとかありえないでしょ、

今日踊るのは別日のオーロラ姫なんだよ!

ってところなんですけど

私は上記の通り「代役」の響きに不随したヘンテコなイメージを
どうしても拭いきれないため


熊「えっ!代役どすって?!

なんということでしょう!

あなた休み?のはずが駆り出されたんですよね??

準備大丈夫?

『ローズ・アダージョ』こなせる?

最後の『グラン・パ・ド・ドゥ』は?

それめっちゃ楽しみに雨のなか来たんやけどぉ~…」

など心配しきりでした。

あと、マシューズの降板に伴い

相手の王子役まで日本人ダンサーに変更されました。

(自分、これまた一分でお名前わすれ果てました。すみません)

二人で組んで踊るには相性等あるから、これも仕方ない話だけど……

うーん……?なんてモヤっていたら


ディレクター「ねえでも皆さん、日本人ダンサーたちが主役でワクワクしてきたデショ?フフフ!」

みたいな感じでディレクター退場。

おいおい、フフフじゃねえよ。←本当にフフフじゃなく通訳さんはそんな訳し方なぞしていないしディレクターも笑ってはいないけど私の感じた雰囲気がね、こう~…


「残念ながら…」なんてセリフから始めたくせに何だい何だい、
あんがい陽気だな!

どうして白人様ってどこかしらテキトーなんだ。

逆に羨ましいその脳天気さ。

ディレクターの朗らかさとは裏腹に

私の不安と若干の不満を引きずったまま幕が開きました。

プロローグにはオーロラ姫も王子もまだ登場しないので

とりあえずお手並み拝見。


(注意…以下、ド素人の上から目線や何様発言的なものや勘違いや物知らずが散見しますが

どうか許してください。

しょせんただの感想です)



舞台美術や衣装は重厚な雰囲気でとても素敵。

おとぎ話そのものの世界に

おとぎ話なりの現実みをうまく与えています。

オーロラの誕生を祝うパーティーとして

騎士やら何々の妖精たちが踊るんですけど

ソロパートの女性ダンサーたち、手足の処理がちょっと雑と感じました。

美熟女っぽい悪役カラボスの登場で場がようやく引き締まった感じ。



休憩はさんで第一幕は

チャイコフスキー節の真骨頂、華麗なるワルツがあり

それからいよいよオーロラ姫登場。

(ちなみに終演後にロビーで確認するまで

私は代役ダンサーのお名前を知らないまま終わりましたが

オーロラ姫は佐久間奈緒さん、

フロリムンド王子は厚地康雄さんでした)




変に不安だったけどこの日のオーロラ姫役ダンサー

踊りを見れば技術はしっかりしている上

どっしり落ち着いていて
私の不安などまったく要らないものでした。

(そりゃそうだわな…)


だけど「代役イメージ」に引きずられた愚脳の修正がききづらかったため

今回の「ローズ・アダージョ」は

自分史上かつてないほどの

スリルとサスペンス(?)に満ちることとなったのです。


「ローズ・アダージョ」は

お年頃になったオーロラ姫と

婿候補にと選ばれた四人の貴公子たちとの踊り。

華やかな旋律と
オーロラの繊細な心を表す動き

薔薇を小道具に使うロマンチックさが大好きなのですが

女性ダンサーにとっては難しい踊りで

技術的な見どころは「アチチュード」のバランス。


ちなみにアチチュードとは片足でつま先立ち、もう片方の膝を曲げたこういうポーズ↓





(おかしいわ…これで見ると簡単ぽく思えちゃう。失敗したかしら)


えーと、別にバレエをやっていなくても

爪先立ちしながら片足を上げ、ふらつかずに姿勢を長いことキープする難しさはよく分かりますよね。

しかもダンサーはあくまでも美しいポージングで。

ローズ・アダージョでは

オーロラ姫は片手を頭上に上げた状態で

アチチュードのバランスを保ったまま

もう片方の手を
四人の貴公子が差し出す手に
順番に委ねていきます。

で、ひとりのパートナーから次のパートナーの手を掴む

(正確には「手を取る」ですがなんかね、「掴む」って印象…)

その合間に

サポートされていた手を離して上にあげ…

つまり両腕を頭上にした状態でポジションキープするのです。

そのように腕を上げるのをアン・オーといいますが

両手アン・オーでのアチチュードポーズが長くなるほど観客は喜びがち(笑)

実際このバランスを保つのは誰しも大変そうで

いろんなダンサーが演じたものを思い出してみても

パートナーの手を離す前の女性ダンサーの手は
男性の手の上で

時には小型犬のようにプルプル震えていたり(力入りすぎ?)

また時には
離すべきベストポジションを探るべく、細かくせわしなく動いていたりと…

かなり必死。

大きくグラグラしてはダメ、
ふらついてバランスを失えば足をついてしまうかもしれないから。

そんな大失態はプロとして許されない。

辛くても表情はできるだけ柔らかく

そして姿勢はなるべく微動だにさせず…

大変だぁ……

(観ていると自然と手に汗にぎる)


その点において今回はぶっちゃけ、見どころアン・オータイムが割と短かったかな?

ササッとパートナーチェンジしていった感じ。

も少しこらえてくれたら見応えあったんだけど

バランスはしっかりとれていたし、踊りとしてソツがなかった。

これは本当に
四人のパートナーたちとの
タイミングや呼吸合わせも難しいので

オーロラ姫のアチチュードが無事終了した瞬間には

会場から小さく拍手が起こり

ローズ・アダージョが終わると

ダンサーたちに大きな拍手喝采がおくられました。

お客さんは代役発表があった時からずっと

こんな感じで温かく拍手し、応援していたように思う。

いい会場だなと感じました。


私も拍手を惜しみませんでしたが

緊張感からの解放に脱力し、小さく息までつきました(笑)



そんなこんなで疲れたので以下続く。

長くてすみません。







ネットを漁っていたところ

明日5月15日の名古屋公演では

滋賀と同じ佐久間&厚地コンビが主演予定との情報を拾いました~。

あくまで予定であり、また、滋賀ですでに踊っているので

名古屋のキャスティングがどうなるかは分かりませんが

当日券があるのだったら名古屋の方いかがでしょう?

二人は素晴らしい組み合わせだと感じたし

厚地さんてばイケメン王子ですよ奥サマ!(^∇^)



2018年5月15日(火)18:30開演 
日本特殊陶業市民会館 フォレストホール(愛知県名古屋市)

『眠れる森の美女』





※私はバーミンガムバレエの回し者ではありません