会社の飲み会でのこと。


同僚がオムライスを頼んだ。

しかし、料理が来る前に「ちょっとトイレ行ってくるね」と席を立った。


その直後

運ばれてきた、湯気立つふわとろオムライス。


そして、

そのオムライスを見つめるひとつの影。


そう、ベア子である。




 “獲物を見る目”のベア子


ベア子の目が細くなり、

口元がスッとゆるむ。


あの表情は知っている。

なにかを諦めていない顔。


誰も頼んでいないのに、

誰も勧めていないのに、

ベア子はフォークを手に取り

周りだけを器用に食べはじめた。


きれいに、

本当にきれいに、

“円形に”削り取っていく技術は、もはや職人芸。


その場にいた全員が息をのんだ。


「え? やってる? やってるよね???」


しかしベア子は自然体。

まるで自分のオムライスを整形しているかのような穏やかさ。




そして出来上がった“ひとまわり小さいオムライス”


戻ってきた同僚が席に着く。


「おっ、来てる来てる!って

あれ?」


皿の前で首をかしげる。


「え、こんなに小さかったっけ?」


一同、じっとベア子を見る。


ベア子は

満面の無垢な笑み。

フォークを静かに置きながら、


「最近のオムライスって小さいよね〜♡」


と言った。


(もちろん、店のオムライスは小さくなっていない。)