パンが好きで、パンの雑誌を見ていると目に飛び込んできた“カラクッコ”なるパン。

「小魚とベーコンを小麦粉で包んで焼いたもの」とある。

 

 

フィンランド以外ではあまりお目にかかることのない名物料理だそうだ。

しかも、フィンランドでも首都ヘルシンキではなく、さらに北方のサヴォンリンナ地方へ行かなければ食べることが出来ない・・・

と書かれてあった。

そんな風に書かれると、行かずにはいられなかった。

 

 

昔は本当に気まま旅を繰り返すどうしようもない自分だったなと・・・。

今では考えられない。

 

 

 

ストックホルムからヘルシンキまでは船。

一泊したあと、汽車に数時間揺られて、サヴォンリンナの駅に着いたのは午後遅くだった。

私はカラクッコ、カラクッコと唱えながら町に飛び出していった。

 

 

 

でも、どのレストランにも(外に貼りだしてあるメニュー看板)、カラクッコの名前はない。

グルグルと町を歩き回った。

かなり大きな町だった。

レストランの数も多い。

でも、どこにもカラクッコの姿はない。

 

 

 

もうそろそろお腹も空いたし日も暮れかかっているし。(こんなことばっかりだな・・・w)

半ば諦めかけてトボトボ歩いていると、駅前のスーパーの入り口を見たら、なんと

「カラクッコ」

と貼り紙がしてあった。

 

 

 

閉店間際のその店に入って、探し求めていたカラクッコを1個買った。

 

 

 

まるでダチョウの卵みたいだ・・・。

アルミ箔で包まれてキラキラと輝いている。

私は大事にそれを抱えて、ホテルの一室に持ち帰った。

「君、ほんと面白いよね。僕そんな正体不明なもの食べたくない」

当時の彼はそう言った。

 

 

 

アルミ箔を剥いでみると、中にあったのは硬く、しっかりと焼き上げた全粒粉パン。楕円形をしている。

ナイフと入れると、ボクっと割れて、中から出て来たのは桃太郎・・・

じゃなくて、豚の脂身と小さな魚が絡み合ったやけにギラギラした物体である。

魚はワカサギなのか?オイルサーディンみたいだった。

 

 

 

それを、パンと一緒に食べてみた。

塩辛い。

それから、脂っこい。

そしてとにかく歯ごたえがある。

パンはボソボソしている。

私は一緒に買って来たミルクを飲んで、ようやく飲み込んだ。

 

 

 

 

後で聞くところによると、

カラクッコはもともと木こりのお弁当なのだそうだ。

サヴォンリンナ地方は、森と湖に囲まれた広大な林業地帯。

木こりたちは、森に入るとき、塩干の豚脂と麦の粉を、食料として携えていく。

 

 

 

そして湖で小魚を捕まえて、豚脂といっしょに練った麦粉で包み、焚き火灰にくべて焼くのだそうだ。

朝早く森に入って小魚を捕って、すぐにカラクッコにしておけば、昼頃にはすっかり焼きあがっているのだろう。

またこうしておけば日持ちがいいので、一度に何個も焼いておけば、

その後何日間かの森の中での仕事の合間にいつでも食べられるんだそう。

 

 

 

日本で言う焼きおにぎりなのかな?

 

 

 

 

今はそういった習慣も次第に薄れつつあるようだけれども、

サヴォンリンナ地方ではその素朴な味を懐かしんで、今でもしばしば賞味するという。

 

 

 

 

ところで私のカラクッコは、

一度に食べるにはあまりにも巨大で、

毎日少しずつ食べて、7日後にようやく姿を消した(笑)

 

 

 

 

食べ続けていくうちに、その美味しさにも気付けたし

日持ちが良いということも確認できたw

 

 

 

 

なかなか有意義なカラクッコ旅行だった。

 

 

(見た目の評判は良くないのが現実・・・)