夢のなかで、老若男女、たくさんのひとたちと夕日に照らされた林のなかの寂しいバス乗り場にいた。二台のバスに分乗して、これから〈廃園〉に向かうらしい。みんな口々に「第一講堂棟、懐かしいですな」などと話している。どうやら〈廃園〉はどこかの会社の山のなかの事業所だったが廃止されて久しいようだ。そんな〈廃園〉にいまどうしてこんなにたくさんのひとが向かおうとしているのか私はよくわからない。山道をバスは延々と進み、〈廃園〉に隣接するバス折り返し場に着いた。みんなぞろぞろとバスを降りて列を作り〈廃園〉正門へと歩いていく。私も列の後尾にいったん付いたが、どうにもこうにも列の会話にも雰囲気にも馴染めず、列をひとり外れて停車しているバスの傍らへ行き、野の花を見ているふりを始めた。列はどんどん私から離れていく。