嫌いというか、苦手なものは虫系のもので、あれだけはどうしても箸が進まない。命をいただいているのに申し訳ないことだけれども、平伏して謝り続けるしかない。小学校の頃、田舎から送られてきた蝗の佃煮が食卓に並べられ、栄養価の高いこれを食べなければ食卓から立ってはならないというルールが施行されたことがあった。子どもの口に一匹は大きくて、それでも頑張って口に入れて咀嚼して牛乳で飲み込むのだが、どうしても口の中に脚が残る。それがなんとも気色悪くて仕方がなかった。今から思うと、ちょうど遊びで虫捕りをよくしていたから、野っ原での遊び相手によく似た姿のものを口にすることへの抵抗感が大きくあったのかもしれない。