塔短歌会でご一緒の川田一路さんから上梓されたばかりの歌集『NEXT ONE』(角川書店)を頂いた。そのなかの一首。




繁みある沼地でバスは左折して坂をのぼれば墓地がひろがる 川田一路




この「墓地」は、もしかすると象の墓場のような〈バスの墓場〉なのかもしれない。降りたった寂しい駅前のロータリーで発車寸前のおんぼろバスを見つけ、息切らせて漸く乗りこむも、そのバスが終点の手前で突然エンジンを咳き込ませるとおもむろに左折して寂しい坂を進んでゆく光景が目に浮かんでくる。