一冊の後ろには担当された編集者がいる。かつて中上健次氏『枯木灘』を担当された坂本一亀氏は、全体の構成に目を配るのみならずてにをはの細かな箇所まで徹底して日本語をチェックして作家に書き直させたという。文藝春秋の千住文子・真理子氏『命の往復書簡』も編集者の眼がよく行き届いていると感じられた佳い一冊。村上氏の残念な新作とは大違い。