短歌総合誌「短歌」(角川書店)3月号の巻頭作品30首は伊藤一彦さんと小島ゆかりさんの作品。小島さんは「ある晴れた日に」というタイトルで、「認知症のちち」「声出なくなりたる母」と「われ」の日々を読み手の胸にぐっとくる深い思いと淡々とした筆致で30首に描いていらっしゃる。

われは来てわが影も来て草の丘むかしの父をオーイと呼べり  小島ゆかり

ちちははを置きざりに今日は街に出て冬の猿(ましら)の歩みをしたり  小島ゆかり