昔から非常に多く指されている図の局面(▲65歩が最終手)。 

 

 

前回は、△73桂の変化を見た。

 

今回は、△54歩の順を検討する。この手は先手の態度を問うている。

 

先手の選択は二つある。

①▲25桂

②▲54同銀

順に見ていく。

 

まずは①▲25桂。これは『鈴木大介の将棋 四間飛車編』で本線として解説されている。

 

後手の応手も二つに分かれる。

まず、△24角に対しては、▲44銀、△同金、▲同角と進める。

 

 

ここでさらに気になる手が二つ。①A△55銀と①B△48歩だ。

 

①A△55銀は角取りの意味もあるが、それ以上に△88飛成をつくっている意味が大きい。

これに対しては、▲同角、△同歩、▲53歩と攻める。二歩持っているので単騎での垂らしが有効だ。以下、△88飛成、▲52歩成、△31銀右に、▲41銀と絡む。

 

 

ここ、▲41とだと、銀と交換した時に、後続の攻めの手がかりがなくなるのが気がかりである。▲41銀まで進めば、先手優勢と判定される。心理的にも攻めが繋がる目途が立っているのは大きい。

 

後手からの攻めとして気になるのは△67角や、△69角だが、▲58歩と受けるのが良い。▲39金とかわす手だと、△58角成とされ、非勢ではないものの、怪しい雰囲気になってくる。△58同角成には▲同金、△同竜、▲49金としっかり受ける。後手も竜を切って猛攻してくるはずだが、しっかり受ければ大優勢をキープできる(それがアマ二段レベルではなかなか難しかったりするのだが)。

 

次に②B△48歩である。これには▲39金とかわす一手。▲同金上だと、将来的に39に斜め駒を打ち込まれる恐れがあるし、△88飛成~△46角の筋も発生する。基本的にこの戦型では、▲39金とかわすのが正解となることが多い。

 

▲39金に、△58銀と絡む。

 

 

▲48金上が一例であるが、実戦では以下△47銀成、▲同金、△45歩と進行することが多いように思う。さらに以下、▲53歩、△46歩、▲48金、△47金には▲49金打と受けて千日手の雰囲気が漂う。個人的に玉が薄くて生きた心地がしないのだが、後手の攻め駒は少ないので恐れすぎない方がいい。

 

次に、▲25桂に対して△55歩と二枚替えになる変化である。△55歩、▲33桂成、△同金寄、▲62飛成。

 

 

この局面、人間としては後手の次の指し手がパッと見えないのだが、△77歩成、▲同角、△56銀が指されてみればなるほどのソフト最善手3手一組。47金を狙うと同時に、△65飛を見ている。

 

 

以下は難解で、ソフトにかけてもかなり複雑で読み切れない。▲41角や、▲96角、▲37金が候補となるが、いずれも先手-400点ほどと少し苦しいようだ。

 

次に②▲54同銀の変化を見てみる。以下、△同金、▲同飛。

 

 

ここで目につくのは△65飛だが、あまりに凡手。これなら▲67歩と受けておいて、先手が少し指しやすい。この後先手は▲84飛から飛車成コースが良いようだ。

 

しかし、△65飛に替えて△77歩成が鋭い一着。以下、▲同角、△65飛。この戦型ではこの△77歩成はひとつの手筋として必ず記憶しておくべきである。

 

 

これで飛車の成り込みを防ぐことができない。

 

以下、▲52飛成、△69飛成、▲54歩、△43銀打、▲72竜、△89竜、▲81竜が考えられる進行。

 

 

ほぼ互角ではある。互角ではあるのだが、穴熊があまりにも堅く、振り飛車としては攻めの糸口を見つけるのが大変な印象を受ける。実戦的には居飛車勝ちやすいだろう。ということで、今現在の研究範囲としては、私は▲25桂と▲54同銀なら前者を選択したい。

 

今回は以上だ。次回は、最初の課題局面で③77歩成を見る。