角道を開けた振り飛車に対する、飛車先交換。
各種定跡書でこの変化は振り飛車良しとされているが、そんなに簡単ではない。
私の実戦より。
▲86同歩、△同飛、▲22角成、△同銀、▲77角、△82飛、▲84歩、△33銀、▲88飛に△72金と指された。
△72銀の場合、▲33角成、△同桂、▲83銀、△同銀、▲同歩成、△32飛、▲72と、△同飛、▲81飛成、△71金、▲85竜。これは先手450点ほどなので、やや優勢と言える。
△72金は△72銀に優る手である。ここで穏やかに▲66角と支えて模様の良さをとる指し方もある。それも有力ながら、具体的な実利に結びつけるのは難しいところもあるため、本譜はバッサリと行く。
▲33角成、△同桂、▲83銀。ここで△44角が間違いなく後手の研究手で、解析にかけても最善手。以下、▲82銀成、△同銀。
ここで(後手の思惑通り)指し手に迷った。本譜は▲21飛。これもひとつの選択肢ではある。
ソフトの解析では、▲78金と▲83歩成が有力とのこと。
あくまで直線的な変化で良さを追及したいという心理になるため、後者の変化を掘り下げる。
▲83歩成に対し、まず△88角成は、▲72と、△99馬、▲61飛、△42玉、▲81飛成、△86飛が考えられる進行。▲61飛では▲62飛もある。いずれも明確に先手優勢(1000点越え)。
後手は△83同銀が正しい。以下、▲同飛成、△同金、▲71飛、△61飛、▲72飛成、△82歩までは一本道。
この局面での次の一手が閃かないのだが、▲71銀が最善なようである。以下、△99角成、▲82銀成、△74金。
ここで▲81成銀は指してはならない。△62飛とされ、▲71竜には△61飛と指され、千日手となる。
それはまずいと▲83竜とすると、△94角とされ、途端に後手900点に振れるのでビックリ仰天!以下、▲87竜だと、△86歩、▲同竜、△85金と押さえ込まれるし、▲82竜では飛車交換になって攻めの対象がなくなってしまう。
△74金の局面の評価値は先手200点ほどと、おそらく人間の評価値平均より明らかに低い。
後手は居玉ながら、先手の攻めが軽いので、見た目以上に耐久力があるし、4筋から3筋への逃走ルートに入ると想定以上に広い。
実際のところまだまだ勝負は先である。実戦としては先手の方が勝ちやすい気がするが、気を引き締めて指す必要がある。