人生に余裕がないときは、「ありがとう」と感謝する気持ちを持つことすら難しくなるものだと感じます。
行き詰まっているときほど、素直に「ありがとう」と言えないものですよね。実は、私もそうでした。

「ありがとう」と自然に言える人は、きっと心に少し余裕がある人。そう分かっていながらも、当時の私は、その言葉がどこか遠く感じていました。

これまで啓発本を読んだり、起業塾に通ったりする中で、「まずは感謝しましょう」という言葉を何度も耳にしました。けれど、頭では理解していても、心がついてこなかったのです。

そこで私は、「感謝」をそのまま頑張るのではなく、「小さなラッキー」に置き換えてみることにしました。
何かいいことがあったとき、「ありがとう」ではなく、まずは「ラッキー」と口にしてみる。そんな軽い気持ちから始めました。

「ラッキー」と言いながら、心の中では「ちょっと嬉しいな」「なんだかありがたいな」という気持ちを重ねていく。いわば、“ラッキー=小さなサンキュー”のような感覚です。
最初は意識して言っていたその言葉も、少しずつ自然と口癖になっていきました。

それから一年、二年と経つうちに、不思議な変化が起きました。気づけば、感謝できることが増え、「ありがとう」という言葉が、無理をしなくても自然に出てくるようになっていたのです。

ちょうどコロナ禍で、特別な出来事が何もない日々が続いていた頃、「何も起きないこと」「無事に一日が終わること」こそが、幸せなのだと気づきました。

若い頃の私は、
「これができたら幸せ」
「こんなふうに暮らせたら幸せ」
と、いつも“まだ手に入っていないもの”ばかりを追いかけていました。

たとえば

「もっと余裕のある生活ができたら」

「もっと認めてもらえたら」
「もっと自分に自信が持てたら」
そのときになって、やっと幸せになれるのだと思っていたのです。

だからこそ、今あるものに目を向ける余裕がなく、
どこか満たされない気持ちを抱えながら、
「何かが足りない」と感じて過ごしていました。

でも、何も起きない日々の中で、無事に一日が終わること、いつもと変わらない日常が続くこと。
それがどれほど穏やかで、ありがたいことなのかに気づいたのです。

そのとき初めて、「感謝」という言葉が心にすっと腑に落ちました。

それからは、自然と「ありがとう」と言えるようになり、心にも少しずつ余裕が生まれてきたように感じています。

もし今、感謝する余裕がないと感じているなら、無理に「ありがとう」と言わなくても大丈夫です。

私の場合は、「ありがとう」の代わりに「ラッキー」という言葉から始めてみました。

でも、どんな言葉がしっくりくるかは、人それぞれだと思います。
無理なく、今の自分が少し心地よく感じられる言葉を、自分なりに見つけていけたらいいのではないでしょうか。

その小さな一言が、気づかないうちに、心の流れをやさしく変えてくれるように感じています。