『キングスマン』 オールド&ニューのテイスト
ストーリーは007のパロディともとれるが、ハイテック具合はまったくまけていない。古臭いイギリス紳士の表の顔がテーラーというあたりはベタすぎて、面白みがないが、裏の世界の悪にたちむかう私設の組織の規模の大きさにびっくり。
内容というより、映画として、こういう内容でもこういうハデな仕掛けをしないと、世界をマーケットにできないんだろうな。
007のドクターノーの裏切りや、大人の駆け引き、スリル感は、もう出せないのかもしれない。時代錯誤がおもしろかったオースティンパワーも、回をかさねるごとに、だんだん映画のためのストーリー、ヒットのためのゲストになってしまったものね。
いや、この映画は最高に面白いんですよ。
でも、敬愛する自分の育ての親が、殺されるところを
パソコン画面でリアルタイムで見て、怒りがこみあげてくる……って脚本づくりの原則からいうと、その場面をそのまま映画にしたら、朗読をきかせるのに、本を読んでいる人を映すのと同じだな~
せめて、打たれる音だけ。あるいは次のシーンは、厳かな葬式、怒りの表現は顔ではなく、
行動にしてほしかった。