少年審判やってて、いろいろな親御さんと子どもとの関わり合いを見ていると、前に書いたようなヘンな親御さんもいれば、なかなかしっかりした親御さんも、います。




審判で、こちらが思っている以上に厳しく子どものこれからを考えて話をされた…そんな経験もあります。




「それでも、少年が非行を繰り返すのはなぜだろう?」




再非行の事案で、親御さんの話を聞きながらそんなことを考えたことがあります。




「甘やかしているようには思えないけどなぁ」




「ま、親子関係だけが非行の原因じゃないからなぁ」






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そんなある日、新聞かなにかで、どこかの大学の先生の話を読みました。




詳しい内容は忘れたんですが、児童文学か絵本か、そういったものの専攻の先生で、




「最近の学生は、ある作品の研究をするとき、すぐレポートに『この登場人物はかわいい』とか『このストーリーのここがかわいい』とか、『かわいい』という言葉を並べて、それで終わってしまう。それでは本質がわかっていない。なぜ、かわいいのか、なにが、その登場人物をかわいらしくしているのか、そういったことを全然掘り下げられていない。だから自分の講義では『かわいい』という言葉を禁止にしました。」




と話しているのでした。




「かわいい」って、悪い言葉じゃないけどな…読みながら思いました。


禁止にするほどの言葉かな…?


しかし、そう言われたら、かわいいに代わる言葉を考えなければならないなぁ…


その考えるってところが、大事なんだろうな…


しかし、学生はなんにも悪気なく使っている言葉だろうになぁ…







そう思った瞬間、審判廷でよくみる光景が頭をよぎりました。






「またやってしまったのは、意志が弱かったからです」





「強い意志を持とうと思います」





「この子は意志が弱いのでこういったことを繰り返しているのだと思います」





「…○○に負けない強い意志を…」





「…○○にひきずられる弱い意志が…」






同じだ。




まるで同じだ。




覚せい剤を断ち切ることができなかった弱い意志…




夜遊びをやめられなかった弱い意志…




彼らはホントに意志が弱いのか?




親がなんと言っても聞かずに夜遊びに出かけたり、小遣い銭をせびることが、「意志が弱い」??




前に鑑別所にも入っていて、また同じことを繰り返すと少年院に行くことがわかっていながら深夜に暴走に行くことが「意志が弱い」??






確かに、意志を強く持って…とか、そういう言い回しは、学校でも家庭でもよく使うだろうし…現に自分もこれまでそうだった…




しかし、うっかり、その言葉が出てしまったばっかりに、そこでなにかを停めてしまっていないだろうか??