どうもジェイです。



ゴールデンウイーク中にどうやらアクセス総数が10万を超えたようです。



気づかなかった!



キリ番ふんだ人…いるんですよね、どこかに。




でもなんも企画してないです。すいません。名乗らないでね…って誰も名乗らないか。







※   ※   ※   ※







「ジェイさんちょっといいですか?」



次席調査官が部屋に来ました。若い女性を連れています。


「ご存じと思いますが、調査官補のヒヨコです」


「ヒヨコです」とぺこり。


「知ってますよ」わたしは言いました。「でもわたしの事件はまだ担当してもらってないかなぁ」


「そこで」次席が言いました。「例の身柄のれいかちゃん事件をやらせようかと…」


「えっ!」




「よろしくお願いします」ヒヨコ調査官補はまたペコリと頭を下げました。



ちょっとわたしの目が泳いだかも知れません。




すかさず次席が言いました。「もちろん事実上わたしがつきますから。ただ、まぁ本来わたしは基本的に在宅しかやらないことになっているんで…」


「そ、そうですか…いや~あはは」


次席やるなぁ…と内心思います。


さっそく、3人でカンファレンスです。





「社会記録は読みましたか? ならもうだいたいわかってると思うけど…」


と言って、ヒヨコ調査官補に次のような話をしました。




・ まめに鑑別所に通って(次席についていって)少年との意思疎通をまずやってみること


・ とくに本件では少年と会う回数は度外視して、できるなら毎日でも会いに行くこと


・ 間違っても今のうちから調査票の出来具合なんか心配しないこと


・ 処遇意見については、次席とも裁判官とも付添人とも話をして、調査票にする前に練りに練ること


・ 性的虐待の件について少年と話ができるように努力してみること




そして次席には


「もう意見決めているんですか?」


と聞きました。




次席はちょっと顔をしかめて


「いやぁまさか」


と言いました。





そこで、ヒヨコ調査官補に言いました。




「これから処遇意見を練りに練る第一歩として…」



「はい」



「今回、少年を少年院に収容しない、という選択肢は…あるかな?」



「えっと」



「検送もしないという選択肢」



「えーと」



「 … 」



「あ、あります」



「どんな?」



「試験観察です」



「うん…どんな?」



「えっ?」



「どういう試験観察をいまイメージしましたか?」



「在…あ、わかりました…在試(在宅試験観察)か、委託(補導委託)か…ってことですか?」



「んん~それならどっちですか?」



「委託です」



「どんな?」



ヒヨコ調査官補の目が宙を泳ぎました。



「あの社会記録読んで、委託に出すならどんな委託先でもいいと、そう思う?」



「あーっ」ヒヨコ調査官補が言いました。



「でしょ? どんな委託先でもいいわけじゃなくって…」



次席が後を続けました。「枠組みがしっかりしているところ…しかも、家庭的な雰囲気が濃いところ…」




「ヒヨコさんはどう思う?」




「えっと…そう思います」





「そうなの?」

わざとそう言いました。

「そうであっても、なくてもいいけど、いずれにしろ…」





「空きを探さなきゃいけない」

次席がまた言っちゃいました。

「空きがないと、委託に出したくても出せない。少年院に送るなら、後からキャンセルすればいい。まずは空きを探さないと始まらない。ホントに少年院に入れるかどうかは、その後でじっくり考えればいい…その順序をキッチリつけないと、仕事が全部後手後手に回るんだ。裁判官はそこを君に言いたいんだ」






ヒヨコ調査官補はキョトンとした表情でした。






その少年に収容がいいか帰すのがいいか…そういった選択を早くにピシッとできるかどうかなんて、大した問題ではないのです。



そういう先読みじゃなくって、これというピンポイントの答はまだこれからでいいので、あり得る可能性を潰さないようにアバウトでいいから適宜の先読みはできるようになって欲しい…でもそれは教科書に載っている処遇選択のことではなくって、その少年にマッチした処遇イメージのことなんだけど…




そんな意味のことをヒヨコさんに言いたかったのですが…




わかったのかなぁ?…と内心思いましたが、次席には以心伝心だったようなので「じゃまた何日かしたら話を聞かせてください」と言いました。






翌日。


「裁判長!」と言いながら、今度はK調停委員が入ってきました。





裁判長??