すぐに前回の担当調査官に例の女の子のことを尋ねました。


「前回の調査時にきょうだいからの性的虐待について本人から話はなかったか??」


調査官からは


「なかったです」


という返事でした。



果たして…コトの真偽はわかりません。


真偽を確かめる必要は…あるのか…





主任調査官には、


「少年には、それ以上性的虐待のことを尋ねなくていいです」


「ただ、おばあちゃんには、少年がそういうことを言ったと伝えられないだろうか…」


そういったことを言いました。


主任調査官は


「おばあちゃんとの面接で、もし聞けるような感じなら、聞いてみましょう」


と返事しました。






審判前日…




カンファレンスの時間があまりとれませんでした。


主任調査官からは、


「おばあちゃんに聞いてみました」


と言われました。


「えっ! それでなんて言ってました?」


少年に、性的虐待のことを調査官からいろいろ聞いてもらっても、それで詳しく話してもらえるかどうか、わかりません。


しかも、少年は前回審判から家裁に拒否的な態度です。


仮に、詳細を聞き出して、それが文字どおりきょうだいからの性的な虐待だったとしても、処遇にどの程度影響するのか?


今回は、事件の内容からして少年院送致が前提です。


だから、少年に対して調査官から性的虐待のことを質問するような調査は、とくに必要ないだろう…ただ、少年と一緒に生活してきたおばあちゃんに調査官から聞いてもらって、そこで何かが出てきたら…


それは、その時に考えよう


と思ったのでした。



主任調査官は首を横に振りました。


「おばあちゃんはなにも知らないと言ってました…」


「そうですか…」




もちろん、魚の小骨はとれません。


「しかし、これ以上、打ち合わせる内容はないだろう…」


そう思って、主任調査官には


「じゃ、明日よろしくお願いします」


と言いました。