裁 「それは…いつの話ですか?」
調 「先月だそうです。前回会いに行った時の直後です。」
裁 「先月?」
調 「はい。昨日、在宅で向こうの家裁に送致されたそうです。」
裁 「逮捕されたんじゃないんですか?」
調 「ただの無免だそうです。昼間、ちょっとコンビニに行こうとして、職場の原付を黙って乗ったらしいんです。」
裁 「暴走じゃないの?」
調 「はい。それで、向こうの家裁から手続どうするか、問い合わせがあったんです。」
裁 「 … 」
どうするかもなにも…
なんで勝手に原付なんか乗ったかなぁ!!
一瞬想像した、夜間の公道での暴走行為じゃなかったにしても…
試験観察中の再非行に変わりはない…
しかも、前回も試験観察中の再非行だったではないか…
裁 「…引き上げましょう」
調 「 … 」
裁 「引き上げて、向こうの無免は、向こうの家裁がやりたきゃやらせるし、やりたくないならこっちに送ってもらって、まとめて審判しちゃいましょう…」
調 「 … 」
裁 「いや…調査官にも迷惑かけました…すいません」
調 「あのう…」
裁 「は?」
調 「わたし、反対です。」
裁 「えっ?」
調 「試験観察、続けたいんですけど…」
ま、ま、まじっすか! (゜o゜)
どーもわたくし、このケースであなたとお話ししていると、「まじっすか」ばっかり言わされている気がしますが…気のせいっすか?
調 「裁判官がどうしてもだめだと言われるなら仕方ありませんが…」
裁 「だって…○○さん最初は少年院送致意見だったじゃないですか…もう試験観察中の失敗は2度目ですよ」
調 「そうですが…」
調査官はちょっと考えました。
調 「最初に裁判官が言ったとおり、あの子の非行は終息に向かってます。それは、この試験観察中、わたしが何度も会いに行って実感しました。今回の無免も、以前のものとは質が違って、本当に単なる気の緩み程度の失敗で、非行性が深くなっているとはいえないです。」
裁 「 … 」
調 「もちろん、試験観察中の出来事としては誉められたことじゃないです。ぼくの方でヤキ入れておくので、様子をみさせてください。社長も、原付をちゃんと管理しなかったウチが悪いって言ってますし。」
裁 「ヤキ入れるって○○さん…言葉悪いなぁ…」
草食動物系のくせに、似合わないヨ…一体いつからそんな言葉づかいを…
調 「引き上げは、いつでもできます。また失敗したら、その時に引き上げてください。」
裁 「 … 」
なんなんだ…調査官のキャラ変わってるじゃん…筋トレのせいかい…?
裁 「でもですね…どうせ今回の無免、向こうの家裁で黙っちゃいないですよ。前歴いっぱいあるんだから、うちがボヤッとしてたら、よくて向こうで検送、下手したら向こうで引き上げちゃうかもしれない…うちの試験観察なんかぶっとんじゃいますよ…」
調 「だから…」
調査官一歩前へ。
調 「今、裁判官が向こうに『その無免うちでやるので送ってください』と言えばいいんです。そしたら、うちにかかってる事件に併合しちゃって、最後にまとめて終わらせればいいじゃないですか!」
エッ…?
(~_~;)
そんなのアリ?
もう一回…いいですか?
…この展開…まじっすか?