幻冬舎年月新聞広告を見て面白そうだったので。埼玉県の長閑な田園地帯で、肉片と骨の屑のようなバラバラ死体が発見された。被害者は現場近くにある製薬会社スタンバーグ製薬に勤めていた桐生隆。仕事ぶりも勤勉で質素な暮らしを送っていた青年は、なぜ殺されなければならなかったのか埼玉県警捜査一課槙畑啓介は捜査を続ける過程で、桐生が開発研究に携わっていたヒートと呼ばれる薬物の存在を知る。それは数ヶ月前、少年達が次々に凶悪事件を起こす原因となった麻薬だった。事件の真相に迫るほど、押し隠してきた槙畑の心の傷がえぐり出されていく。過去の忌まわしい記憶を克服し、槙畑は桐生を葬った犯人に辿り着けるのか。猟奇的な殺人かと思いきや、医療ミステリでもあるし、後半はジェットコースター的アクションのサスペンス。盛りだくさんで十分楽しめた。が、伏線をはったりせず直線的なので、やや単調なうえに、どっかで読んだようなという気にさせられる、斬新さの欠落。この人は連続殺人鬼カエル男が面白いそうなので、そちらも読んでみよう。