どこかで聞いた。「人生とは、自分が主人公の物語である」。
きっとそうだろう。でも、ある日気付かされる。
自分が主人公ではない物語は、とても輝かしいと。
なぜ、自分が主人公なのだろうか。

私は、自分と全く同じ人間は二度と生まれないと思う。
双子でも、違いはあるだろう。
全く同じというのは、人と人との付き合いがある以上、難しいのではないか。

人は、人から影響を受けて生きている。
当たり前のことだ。

だが、この当たり前のことが、
とても残酷であるように感じる。

血の繋がった肉親であっても、
「きょうだい」だとしても。

輝かしく見える他人の人生(物語)を、
妬ましく思う。


人は1人だったら
どう生きていくのだろうか

人間は頭がいいのだから
きっと食べ物とかの美味しい、不味いは
わかるのだろう。
でも、言葉は存在しないから
美味しい。不味い。とは思えないのだろう。


そんなことを、
想像しても、仕方の無いことを思う。



1人の人と出会い、
出来上がった自分ではない。

多くの人間と会い、はたまた、
多くの生物とふれあい、
今の自分となる。


その結果が私なのだ。「私」なのである。


ただ、人に愛されたくて
愛されることの難しい人間に
なっていくのだ。





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私は、正直のところ、人よりも
顔つきは整っているのだろう。
化粧さえすれば、綺麗になるのだろう。

自分の顔は小さな頃から
鏡で見ているから、わかったつもりでいる。
あまり可愛くない、綺麗じゃない。

でも人には綺麗、可愛いと言われる。

だから、きっとそうなのだと思うのだ。


一目惚ればかりしていた私は、
付き合ってしまえば
愛を受け取るのが怖くて、
愛ってなんなのだろうと自問して
離れていった。

付き合ってくれた人には、本当に申し訳ないと思う。

きっと、幸せになってほしい。と、
願うことしかできないのだ。



そんな私は、
好きだといえば、好きと返ってくる
自分を好きじゃなかった人を好きになって
自分を好きになるのが
ひどく気に入らない。


私の何も知らないのに、
なぜ好きだと言えるのだろうか。


なぜ?


私は身長が高く、
ありふれた男性よりも大きい。

それはコンプレックスになることすら
なかったが、
性格を大きく変えてしまっただろうと思う。



私は、独占欲が強く、
自分への必要性をひどく求める。
代わりはいない。と、思ってほしい。
必要としてほしい。
でも、必要とされればされるほど
こわくなって、臆病になって
逃げ出すのだ。
なんと自分勝手なんだろうか。
どうして、こうなってしまったのだろうか。




私はいつしか、
少女漫画の女の子に
感情移入ができなくなっていった。

私は物語の人物に入り込んで読むため、
これはひどく私を傷つけた。



どちらかと言えば、
主人公の女の子とくっつく男の子側の
気持ちがよくわかるだ。

「かわいい…守ってあげたい。抱きしめたい。」

そんなことを思うようになっていた。



そして、私はついに
解決できる「ところ」を
見つけてしまったのだ。

なぜ、しまったのか。


それは、同性愛。


知れば知るほど奥深い分野である。


公言することの難しい関係性。


「ふつう」の恋愛にはありえない悩みを
抱える。


でも、私はそれが、
どうも美しく感じるのだ。




私は男になって
男の人と恋愛がしたい。


そう思ってしまう。


男にはなれないし、
きっとなる勇気すらないし、


なったところで
きっと世間体をふまえると
とてつもなく難しい話なのであろう。



でも、
叶わないからこそ、
自分には眩しく、愛おしく思うのだ。






冬だから、
寒いからではない。


ただ、人肌が恋しくて

自分を愛して、
私しかいない。と言われて
抱きしめて、
決して離そうとしない。


そんな人に、私は出会えるのだろうか。