これ、ドイツにいた頃に聴いていたの
うんと子どもの頃よ、大好きだった
サラブライトマンをよく聴いていた
エンヤなんかも聴いていた
ロックにはまりだす前のこと
La Lunaは私のルナなの、月のアルバム
ふとした時に頭に流れ出して
当時の思い出が蘇る
Sarah Brightman Figlio Perduto
Beethoven 7番の第二楽章
あのね私ね昔ね、いつだろう
今よりもっともっと子どもの頃に
ドイツにいたのよ、少しだけね
そこには父のフラットがあって
そうそうチュービンゲンという町よ
パンダに似た猫と仲良しだったの
名前をパンダにして可愛がったの
毎朝ミルクを置いておくと来るのよ
雨の日にも来ていた、彼は食いしん坊
家にはお兄さんと、大きな犬が二匹いた
ポニーテールのお兄さんはエルフみたいで
毛むくじゃらの犬は熊みたいだったよ
花がたくさん咲いている可愛い家
私は毎朝のコーンフレークが嫌いで
それはチョコレート味なのだけれど
牛乳をかけるとふにゃべとっとして
それがもんのすごく嫌だったの
みんなミルクをすすめるけれど
断固としてカリカリのまま食べたわ
赤煉瓦の家、堅いパン、恐竜の模型
細い道をどんどん上がると、滝もあった
硬貨を握りしめてパン屋に入ったら
大好きなバタープレッツェルがあって
その香りに誘われて私は迷子になった
公園ではよくブルーベリーを摘んだ
ラズベリーもあったし黒いのもあった
私はずんずん進んでいって虫に刺された
そうだ
チョウチョのおもちゃ入れケースに
カラフルな容器に入ったお化粧セット
私はカラフルなおもちゃが大好きだった
振ったら模様の変わるビーズ入り万華鏡
緑色の公園にはそよ風と黄色い日差し
私は夢中になって万華鏡をのぞいた
たくさんの色が柔らかく混ざって幻想的
万華鏡の中には虫と蝶のビーズが
動かすとじゃらじゃら鳴って
宝石箱のようだった
広くて砂場のある公園の隅っこの店には
いつもにじうおのぬいぐるみがあって
私はそれが欲しくて欲しくて欲しくて
ショウウィンドウに毎日張り付いて
とうとう買ってもらったのよ
にじうおは私の宝物だったわ
いつでも持ち歩いた、大好きだったの
にじうおはね、キラキラをみんなに
誰でもみんなにわけてあげるのよ
それで自分のキラキラは減っちゃうけど
かわりに皆が少しずつキラキラになるの
たぶん鱗はホログラムでできている
なんて素敵なんだろうって思った
そのキラキラはきっと良い匂いがする
もしかしたら、きっと味も甘いかも
歯磨き粉みたいなピンク色のアイスを
だだをこねて買ってもらったことがある
それはとっても不健康で舌が赤くなるやつ
父はたまにはいいか、と呆れていた
父の研究室に立ち寄って見たのは大小の石
恐竜の骨をみるために博物館へ行ったの
そこには変な顔の水の中に住む恐竜がいた
スーパーマルケットでアボカドを食べて
キンダーサプライズを買ってもらった
バッタにはパスタという名前をつけた
パスタはいつのまにかいなくなった
きっとロッカーの中に忘れたのよ
お城へ行く道はね、馬と一緒だった
そこで女の子と仲良くなったの
女の子は私の黒い瞳と黒い髪を
素敵だと言ってくれて
私はその子の青い目と金の髪を
素敵だと思ったよ
ジャバズハットの住む穴もみた
朝起きて台所へゆくとオレンジの隣の
新聞にジャバズハットが載っていたの
きっと本当にいるんだわ、そう
だって新聞に載っていたんだよ
それに飛行機からも見たの
森の中に、穴がたくさん空いていた
私はね、にじうおになろうと思ったの
うまく言えないけれど、もしもね
もしもキラキラを自分がもっていたら
絶対にみんなでわけようと思ったの
女の子は私の黒髪を欲しがった
だからあげた、一本あげたの
にじうおの絵本は私の宝物だったよ
でもその宝物は確か、公園で出会った
あの女の子にあげちゃったのよ
キラキラは人にあげたほうがいいの
その女の子は絵本を欲しそうにしていて
それで、大事だけれどあげたの
手放すのはちょっぴり悲しかったけれどね
あのぬいぐるみは今どこにあるのだろう
ぬいぐるみは誰にもあげてないはず
もしかしてネパールにおいてきたかな
大好きな星の王子様のビデオも確か
ネパールに置いてきちゃったのよ

私の大切なにじうお
もう誰かの手に渡ってしまったかな
でも私の胸の中にいつもいる
それでいいのかもしれない
思い出は思い出のまま