昨日のAプロ初日に続き二日目。A千穐楽は13:30〜16:30とB初日18:30〜21:30。

序盤に硬さが見られた初日と打って変わってこの日は冒頭から力が抜けて台詞もしっかりと心に届くようになっていた。

多くのメンバーがA Bで異なる役をこなす。それでなくても難易度の高いシェイクスピアの台詞。二時間後に違う役というのは更に大変。それをやり遂げた皆さんに心からのエールを送りたい。

イタリア留学経験のある高橋正徳ならではの演出。現代風のアレンジ、様々な小ネタ。音や照明の妙。演じる方もさぞや楽しかろう。それもあってか、A B異なる役でも、その違いを乗り越える事ができたのかもしれない。

さて。設定ではジュリエットは14歳の手前。そんな少女がこんな言葉を吐く。

ロミオぼくは誓います、あの果樹の梢を銀一色に染める清浄な月にかけて ─ ─

ジュリエットいけません、月にかけては、不実な月は一月ごとに満ちたり欠けたりするもの、あなたの愛もそのように変わりやすいものになります

ロミオも16歳の設定だが、こんなティーンエイジャー二人が愛の言葉を詩的にやり取りすることに、現代の我々は頭を切り替えなければならない。それも含めて舞台セットや若い俳優たちの演技・台詞回しから、私たち観客は想像力を働かせる事を要求されている。そう、シェイクスピアと高橋正徳の作為によって。

小田島雄志の美しい日本語訳。韻を踏み駄洒落が連発される膨大な台詞量。美しさのなかに散りばめられた卑猥な表現も。更に神の存在が現代日本からは想像もつかない中で、社会における神父や大公の役割をいかに腹に落とすか。

舞台美術はもとより研修科生たちの演技は、私たちを21世紀と16世紀を繋ぐ世界に誘う。それを素直に無意識に楽しめる観客こそ、この文学座アトリエに相応しい。

A プロ Bプロと趣向の異なる二公演を連続で、且つ安価で楽しめる発表会中日の土曜日。ご一緒したY夫妻もすっかり楽しんで頂けた様子で何より。

さあ、いよいよ明日は Bプロ千穐楽、そして56期の卒業だ。しっかり見届けよう。

ロミオとジュリエット A千穐楽 B 初日