ドリーは世界王者になって二度目となるカルガリー地区遠征を行った。前回は6月6日から6月12日までで、アーチ・ゴルディ(ザ・モンゴリアン・ストンパー)を相手に5回の防衛戦を行った。今回は7月7日から7月12日までで、ビル・ロビンソンを相手に5回の防衛戦が予定されている。
全8試合の結果は下記の通り。会場はほぼ満員の観客で満たされた。この2年で最も多くの観衆がこの試合を見に来たのであった。
1969年7月7日(月曜日) カナダ/アルバータ州カルガリー/スタンピード・コラール
試合開始:午後8時30分
1)ミゼットタッグマッチ
ザ・リトル・ビーバー&ザ・ジャマイカ・キッド(勝ち)スカイ・ロー・ロー&ザ・リトル・ブルータス
2)女子シングルマッチ
ジュディ・グレーブル(勝ち)ジャン・ケイス
3)シングルマッチ
サンダー・コバックス(引き分け)マーセル・トゥルードゥー
※S・コバックスはハンガリー王者。
4)シングルマッチ
アール・メイナード(勝ち)ジャック・クリス
5)シングルマッチ
クロンダイク・ビル(勝ち)ダリル・コークラン
6)カルガリー地区認定カナディアンヘビー級選手権試合
デイブ・ラール(勝ち)ジャック・ベンス
※D・ラールが王座防衛に成功する。
7)カルガリー地区認定インターナショナルタッグ選手権試合
ジ・オズボーン・ブラザーズ(バッド・ オズボーン&レイ・オズボーン)(勝ち)クレム・セント・ルイス&ジャック・ペセク
※C・S・ルイス&J・ペセクが王座防衛に失敗。B・オズボーン&R・オズボーンが新王者チームとなる。
8)NWA認定世界ヘビー級選手権試合(60分3本勝負)
ドリー・ファンク・ジュニア(1-1)ビル・ロビンソン
①ロビンソン(38分16秒、フォール勝ち)ジュニア
②ジュニア(10分26秒、回転足首固め)ロビンソン
③ジュニア(時間切れ)ロビンソン
※第10代王者D・F・ジュニアが王座防衛に成功する。B・ロビンソンはジョイントプロモーション認定ヨーロッパヘビー級&大英帝国ヘビー級&カルガリー地区認定北米ヘビー級王者。
第1試合はミゼットレスラー4人によるタッグマッチ。カナダ出身のL・ビーバー(35歳)と黒人のJ・キッドが組んで、S・L・ロー(40歳)&L・ブルータス(31歳)を破る。ブルータスはタイニー・ティム、ティム・ジェラード、タイニー・トムなどのリングネームを使っていたカナダ出身のレスラーである。
第2試合は女子のシングルマッチ。ベテランのJ・グレーブル(43歳)がJ・ケイス(ジャネット・ケイス)に勝つ。
第3試合ではハンガリー王者を名乗るベテランのS・コバックス(49歳)がM・トゥルードゥーを破る。トゥルードゥーはポール・トゥルードゥーあるいはクロード・ゴスランとも名乗り、カルガリー地区やモントリオール地区で試合をしていた。活躍時期は1950年代末から1970年代初頭である。コバックスは翌年に日本プロレスに登場する。
第4試合はバルバドス出身の黒人レスラー、E・メイナードがJ・クリス(40歳)を撃破。クリスは1950年代末から1970年代初頭にかけてスタンピード・レスリングのリングに上がっていたレスラー。メイナードは2年後に日本プロレスに登場し、大木金太郎の持つアジアヘビー級王座に挑戦している。
第5試合ではK・ビル(37歳)がD・コークラン(39歳)に快勝。地元カルガリー出身のビル(ミスター・ブルート)は6年前と前年の二度にわたって日本プロレスの招へいに応じている。前年にはノンタイトルマッチではあったが、エースであるジャイアント馬場からフォール勝ちを収めている。コークランはジョン・ドランゴとして新日本プロレスのオープニング・シリーズに来日。そのときはジム・ドランゴ(ボブ・アームストロング)とのザ・ドランゴ・ブラザーズとして活躍した。
第6試合ではカルガリー地区認定カナディアンヘビー級王者のD・ラール(48歳)がJ・ベンスを破る。この年に国際プロレスの招へいで来日を果たしているラールはキャリア23年のベテランではあるが元世界王者のレイ・スティールのトレーニングを受けている強豪である。ベンスは超ベテラン選手で、3年前に初めて来日している。この試合がタイトルマッチであったかどうかは不明。
第7試合はカルガリー地区認定のインターナショナルタッグ王座を賭けた戦い。バッドとレイのオズボーン兄弟が、王者チームのC・S・ルイス&J・ペセク(45歳)を破って新王者チームになる。アルバータ州出身のオズボーン兄弟は実の兄弟で、レイ(40歳)はウィリアム・”バッド”・オズボーン(39歳)の年子の兄である。彼らはこの年から翌年にかけてこのタッグ王座を4度ほど獲得している。ルイスは1960年代のスタンピード・レスリングの試合結果にその名前が登場する。
ペセクは4年前に日本プロレスで開催された第6回ワールドリーグ戦に来日している。彼の父親のタイガーマン・ジョン・ペセクもレスラーであった。
第8試合がこの日のメインエベント。世界王者のドリー(28歳)が三冠王のB・ロビンソン(29歳)との初対戦を行う。ロビンソンはこの年の元旦から国際プロレスの「ビッグ・ウィンターシリーズ」に参戦。5月から6月にかけてハワイで数試合行い、その後カナダのスタンピード地区に移っている。
1本目はロビンソンがフォール勝ち。新聞記事によると「バックドロップ」と書かれているが、これは「岩石落とし」ではなく、「人間風車(ダブル・アーム・スープレックス、ダブル・アンダーフック・スープレックス)」のことであろう。2本目はドリーが十八番のスピニング・トー・ホールドでギブアップを奪ってタイに持ち込む。決勝の3本目の開始時にはすでに38分が経過しており、両者はそのままタイムリミットまで戦い続けて引き分ける。
ロビンソンは日本からハワイを経由してカルガリー地区に入ったが、ホノルルでニック・ボックウィンクルと一騎打ちを行っている。その日の結果を載せておこう。なおこの日NWA認定ハワイヘビー級王者のカーティス・イヤウケアとNWA認定(ハワイ版)北米ヘビー級王者のジン・キニスキーは出場していない。
1969年5月7日(水曜日) 米国/ハワイ州ホノルル/ホノルル・インターナショナル・センター・アリーナまたはホノルル・シビック・オーデトリアム
1)シングルマッチ
ビル・ロビンソン(時間切れ)ニック・ボックウィンクル
2)シングルマッチ
ドリー・ディクソン(勝ち)マサ・フジワラ
※M・フジワラはハリー・フジワラ。
3)シングルマッチ
ペドロ・モラレス(勝ち)タンク・モーガン
4)シングルマッチ
ボビー・シェーン(時間切れ)フライデー・オールマン
※F・オールマンはフランク・オールマン。
5)シングルマッチ
リッパー・コリンズ(勝ち)ロイ・カマカ
※R・コリンズはNWA認定ハワイタッグ王者(パートナーはバディ・オースチン)。R・カマカはコア・チキ。
6)バトルロイヤル(11人参加)
[参加選手] ビル・ロビンソン、ドリー・ディクソン、ペドロ・モラレス、ボビー・シェーン、ロイ・カマカ、ニック・ボックウィンクル、マサ・フジワラ、タンク・モーガン、フライデー・オールマン、リッパー・コリンズ(もう1名不明)。
[結 果] ◎D・ディクソンの優勝。
ドリーとロビンソンという実力者同士の初めての対戦は引き分けに終わった。そしてその再戦が翌日、場所をアルバータ州エドモントンに移して行われる。

