今から15年程前、
生まれて初めて「パソコン」というものを購入した。
何やらパソコンという物体は、
魔法のように「何でも出来る」と聞いたからだ。
考えてみれば、
「何でも出来る」 っていうのは、実に抽象的な表現だなぁ。
じゃあ、パソコンでご飯が炊けるのか?
っていうと、そんなことはないわけで・・。
それはともかく、注文していたパソコンが我が家に届いた。
大中2個の段ボールに分かれていて、
配線やらCDやら、ごちゃごちゃと入っていた。
「おおー!これが噂のパソコンってやつだな、どれどれ・・」
まぁ、配線に関してはそこそこ自信があったから、
説明書を見ながら順番に進めて行けば、
そんなに苦労はしないだろう・・・と。
読み始めていくと、なんだか「嫌な予感」がしてきた。
いきなり聞いたこともない言葉が、ポンポン飛び出してくる。
こーゆうときのぼくの「嫌な予感」は、
97%くらいの確立で的中する。
普段から、自己紹介もしないで馴れ馴れしい人間は嫌いだが、
わけ分からん「和製英語」を使う奴はもっと嫌いだ。
なんか、そんな奴等が使いそうな言葉の多いこと、多いこと。
データを送る場合は、シリアルポートの・・
インターフェースが、どうしたこうした・・
デバイスが、どうしたこうした・・と。
「オレは日本人だぞ。日本語で書けよ、日本語で!」
読めば読むほど、だんだん腹が立ってきた。
だいたい、日本人の何パーセントが
「デバイス」 の意味を知ってるんだ?
でも、ここで挫折するのは余りにも惨めで情けないから、
何とかかんとか怒りを静めながら、とりあえず配線を終えた。
さて、いよいよ電源投入!
ほほー、画面に何やら出てきたぞ。
Windows セットアップにようこそ
まただよ・・セットアップって一体誰なんだ?
何がようこそだよ ったく。
大した歓迎もしてないくせに・・。
生まれて初めて使うマウスは、
「次へ」 を押すのもなかなか大変だ。
やっとこさ押したら、
今度はユーザー情報って画面が出てきた。
「名前と会社名」
ここに文字を入れろというのか?うそだろ?
生まれて初めてパソコンに触って、
今まさに電源を入れたばかりの人間に対して、
ここに文字を入れさせようとするなんて、
余りにも冷酷ではないか。
だいたいこの鍵盤、
よーく見たら 「あいうえお順」 になってないぞ。
この配列をスグに覚えろというのか?
このときばかりは、
自分の名字が 「あ」 で名前が 「い」 だったら、
どんなに幸福だろうと思った。
とにかく必死で打ち込んだことを、今でも鮮明に覚えている。
お、また画面が変わりやがったな。
次は一体どんな試練が待ち構えているんだ。
また、意味不明な横文字出すんだね、あんた。
なーんて思ったら、今度は突然、漢字になっちゃった!
半角で数字を入れろって、どういうこと?
「はんかく」 なんて日本語聞いたこともない。
北海道の方言に 「はんかくさい」
ってのはあるんだけど、たぶん関係ないよなぁ・・。
焼肉屋の「牛角」なら知ってるけど、「半角」は知らない。
英語と日本語が入り乱れる、
この節操の無さは一体何なんだ!?
最初に感じた「嫌な予感」が、
見事に的中したことを、このとき悟った。
「俺、パソコンに向いてないかも、いや絶対向いてない」
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早いもので、あれから15年。
人間っていうのは、
同じことを繰り返しているうちに、感覚がマヒするようだ。
英語と日本語が入り乱れる
Windowsパソコンにも、すっかり慣れてしまった。
ただひとつ、今でも許せないことがある。
「不正な処理を行いました」
って、そんな残酷な言い方しなくても・・。
それじゃまるで、横領でもした犯人扱いだ。
もっと穏やかに、優しく・・
「あなたの高度な要求に、
ちょっとだけWindowsが付いていけません」
な~んて言ってくれたら、
パソコンも、もっと好きになるんだけどなぁ (;^_^A


