彼の突然の死から10年、久しぶりに学生時代の共通の友人が集まる。


『彼はうちにいます』


畳の表替えをした、イグサのなんともいい香りが家中に漂う。しばらく猫は立入禁止にしよう。



お墓、先日見に行ったところは良かった。


我が家と彼の実家のちょうど中間くらいに位置し、よくドライブに行った山の入口にあるこじんまりとした霊園。


そのずっと奥には実家のお墓の巨大な霊園がある。


思い立ってひとりで見に行って、お話聞いて、とりあえず仮押さえしてきちゃいました。


墓所代と墓石代で174万円、どうなんだろ。


だってずっとこのままって訳には行かないでしょ。すでに骨壷ふたつ。


担当の女性は石屋さんの人らしく高い石を薦めるが、そこはそれでなくても予算オーバー。


さて何が良かったって、場所。


もう6〜7割がたお墓が建っているのに、よくその場所が残っていたもんだ。


そのエリアの一番端で一番前。


真ん中の通路から両側にお墓がずらりと並んでいて、その一番奥。


土地を買う時、角地にこだわってたし、手前の角じゃ人の往来が多くてきっと彼は落ち着かない。


しかも一番安い。通路横の角地が見晴らしが良い分最も高く、そこから端に向けて段々に下がっていく。


うん、確かに。街が一望できる。でも端っこからでも見えないこともない。夜景も美しかろう、でも夜にお墓参り行かないし。


初めは樹木葬がいいかなと漠然と思っていたが、入れる人数、場所、ペットとは一緒でないエリアとかいろいろ見てると結局そこかな、と。


息子が結婚するか、子供をもうけるか、そこまで待とうかと思った時期もあったが、これも縁。


もうひとつの決め手は、管理料が2年滞ったら墓仕舞いをして永代供養してくれるってこと。


つまり滞らなければずっと使用できるし、引継ぎ手がいなくなれば勝手に仕舞ってくれる。管理料は年間12,000円。


それに、もし息子が生涯独身でも入るところがあるという安心感、どこまで親バカなんでしょ。


それでも実家のお墓周辺は行く度に更地が増えていて、本当に考えさせられる。


でも、あ、ここかな、と思えたんだもの。


今週末に再度、息子たちと一緒に見学に行きます。