光の帝国-常野物語- | バステトの本ブログ

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本はネタバレしまくりなのでご注意を☆好きな作家は恩田陸、五條瑛、柴田よしき、今野敏、三浦しをん、よしながふみ、伊坂幸太郎、北村薫

恩田 陸著 (集英社文庫) 『光の帝国』
 内容:膨大な書物を暗記するちから、遠くの出来事を知るちから、近い将来を見通すちから―「常野」から来たといわれる彼らには、みなそれぞれ不思議な能力があった。穏やかで知的で、権力への思向を持たず、ふつうの人々の中に埋もれてひっそりと暮らす人々。彼らは何のために存在し、どこへ帰っていこうとしているのか?不思議な優しさと淡い哀しみに満ちた、常野一族をめぐる連作短編集。優しさに満ちた壮大なファンタジーの序章。


恩田氏の作品にハマルきっかけともなった作品『光の帝国』
 

 たしか、私が高校生の時のナツイチフェアで平積みされていたのがきっかけで手にとった本でした。それまで私はミステリーに偏りがちだったのですが、日本昔話みたいな話なのかな?と思ってレジに持って行った。

 小学校から行きつけの地元の本屋のオッチャンが 「高校生の時にこの本読めるのがオッチャンは羨ましいよ」と言って薦めてくれた本だったので俄然読む気になったものです。

 や~。不思議な物語でした。
実際に日本にはきっと、こういう不思議な力を持つ人達がいたんでしょうね。

最初の『大きな引き出し』では、春田家の一家。膨大な書物を「しまう」ことができ、人の記憶を「しまい」癒す。穏やかで優しい昔話を聞いているような気持ちになります。

3話目、『達麿山への道』はなんていうんでしょうね。自然の大きさ、不思議さが実感できる作品とでもいうんでしょうか。人生の境目にこの達麿山に登ると、自分の将来が分かるという話。(ダメだな。文章能力がなさすぎて伝えられません)

6話目の『光の帝国』は涙なしでは読めませんでした。
様々な能力を持ち、可能性を秘めた子ども達と、そこ子達を守ろうとした人たちまでが暴力的な仕打ちに命を落としてしまう。通学の電車の中で思わず嗚咽してしまった物語でした。
子ども達を守れなかった長寿のツル先生が 天を仰いで、「殺してくれ」 と呻くシーンはギリギリと胸が痛みました。

私にとってものすごく想い出深い一冊なのです。なぜなら、小学生の時から本好きを自覚していた私が初めて、本に頭ごと本に持ってかれるようにして没頭した最初の本だからです。

 文章能力がないため、この本の良さが伝わらないのが身悶えするほど悔しいのですが、梨木香歩の『家守綺譚』 や桜庭一樹の『赤朽葉家の伝説』 系統が好きな人にはゼヒゼヒ!!とオススメしたくなる作品なのです。