話が前後してしまうが、

どの様な思考で、

愛する子供たちを置いてまで、

一人で帰国することを決めたのか。


それをお話ししていこうと思う。


夫は大腸がんのステージ4だった。


その宣告がされる前、

血尿が出て病院に行ったんだけれども

その症状が出る数ヶ月前、

ワタシは唯一の友である

ベロニカに聞かれたのである。


何で別れないの?


ワタシは顔を歪めて、

精一杯の平静を装いながら

「だって子供達に会えなくなるから。

たとえ2週間だって、離れたくないのよ。

それに、彼は、もう先長くないから」

と言った。

後、10年もすれば

彼はいなくなるだろうと思っていた。


2週間というのは、

カナダで離婚した場合、

多くの人たちがとる方法で、

子供たちは2週間づつ

父と母の家を行き来する仕組み。



ワタシは元弁護士だったという

ベロニカの前で醜態を晒したと思っていた。

きっとこんなDVなんて

星の数ほど見てきたんだろう、と思って

恥ずかしくなった。


しかし、のちにベロニカは

あの時、抱きしめてあげたかった、と

語ってくれた。


そしてなぜ、霊能力者でもないワタシが

夫の寿命が長くないと思ったか?


夫の生活を見ていれば、

簡単である。


運動はしない

野菜は食べない

コーラは日に2〜6本

ポテトチップを毎日食べる


こんな生活をそばで見ていれば

誰でも分かると思う。


体重も増えてきていたが、

それはポジティブにとらえ、

100kgを目指すぞ、などと

友人たちには語っていた。


家では一歩も動かない。


そして、癌の宣告を受けた後、

あんなに嫌だったら夫なのに、

ワタシはストレスのため、

脚全体にアレルギーの湿疹が出た。


珍しくて写真も撮った。

どう考えてもあんなに一度に

そして広範囲に出来たのは、

ストレスだったと思う。


恐らく、夫がいなくなった後の

生活が不安だったんだと思って

日本での仕事やアパートなどを探し始めた。


50歳を過ぎて、

ステージ4なんて、

ほぼ助からないじゃないか。

そう思っていた。


ところがである。


続く