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原作:イプセン
演出:森新太郎

アルヴィング夫人・ヘレネ(未亡人):安蘭けい
オスヴァル(ヘレネの息子):忍成修吾
マンデルス(牧師):吉見一豊
レギーネ(アルヴィング家の女中):松岡茉優
エングストラン(大工、レギーネの育ての父):阿藤 快

ストーリーなど詳しくは公式サイトで。

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観劇済みのお友達から「舞台を現代に移したのが残念」と聞いていたけど、確かに。
「やっこさん」など古くさい言葉が出てくるから、セリフと話してる人の服装にギャップが(^▽^;)

ただ、衣装のお陰で瞳子さんのスタイルの良さは堪能できた。
ペタンコのくつなのに足が長い!
(息子役の忍成くんはさらに長い!そして細い!親子設定に違和感なし)
白い足首丈パンツは美脚じゃないとはけないし、白いトップスは細い人でないと白クマになってしまう(笑)
でも、クラシカルな衣装の瞳子さんも見たかった(T_T)

瞳子さんは放蕩な夫に耐えてきて、夫の悪行を息子や他人にはひた隠しにしてきた役。
(こういう意志の強い役、多いよね)
この点でも、舞台を現代に移さない方が違和感なかった。
だって、現代ならたやすく離婚できるような仕打ちを受けてるのに、ヘレネが家にとどまったことが不自然に見える。

せめて、セリフも現代風に変えてあれば。
作品紹介で予備知識があったから察しがついたものの、故アルヴィング氏が放蕩の果てに梅毒に感染したのを「体が腐っていた」と表現するのは、わかりにくいかも。
ただ、出演者5人とも、声がよくてセリフが聴き取りやすく、話についていけないことはなかった。

ヘレネがオスヴァルに甘くする場面は、「サンセット大通り」で若い男に夢中になるノーマを彷彿とさせる。
そして「オスヴァル」を何度も「オスカル」と空耳にひひ
演じる忍成くん、エキセントリックな役をよく演じてるけど、今回も狂気の演技がすごかった。
瞳子さんが若く美しいから、スキンシップすると近親相姦的な香りがしてドキッとした。
(ちなみに解説に出てくる「近親相姦」は、このことではありません)

息子・オスヴァルは遺伝で梅毒に感染してるのに、奥さんピンピンしてるよ。
普通、妻がうつされない?
(ちなみに、宝塚でおなじみのエリザベート皇妃は、梅毒をうつされてフランツ=ヨーゼフの浮気に気付いた。ヅカ版では、フライデー的に写真を撮るけど、東宝版ではこの史実が出てくるそう)
さすが元トップ、丈夫なのね←それは関係ない┐( ̄ヘ ̄)┌

物語の10年ほど前、夫の放蕩に耐えかねたヘレネが、牧師のところに逃げ込んで「私はあなたのものよ。好きにしてちょうだい」と迫っていたことがわかるけど…
牧師は鉄の理性でヘレネを追い返してしまっていた。
信じられない\(゜□゜)/
あんなきれいな女性が迫ってきたら「チャンス」でしょうが!
牧師は神父と違って結婚可なのに…よほど変わった趣味の持ち主なのかしらべーっだ!

イプセンと言うと、松井須磨子の「人形の家」が思いつくけど、この作品は知らなかった。
彼の作品はじめ、ノルウェーの文化や風土に知識があれば、もっと理解できたかもしれない。
私はノルウェーと言えば「ノルウェイの森」。
村上春樹じゃなくて、ビートルズのほう。
あの歌のように、空気が乾いていて神秘的なイメージ。

役者の熱演で退屈せずに最後まで見られたけど、あまり「楽しい」感じではないかも。
コミカルな場面もあるにはあるけど。
私の右隣のカップルは中盤で帰ってしまっていた(・・;)

結局、「牧師、据え膳食わなかったな」という感想に終わった…