半分言うたもん勝ちなこの世界で、それなりの支持を得ることができるのはほんの一握りであることは周知の事実。
今日よく知られているカクテルのレシピは、その多様性と完成度により成り立っているわけなのだから。
自分で何かを生み出して、努力を怠らずにいれば支持を得ることもできるだろうが、努力も全ては報われない。
どっかの内燃機関メーカーも、そんなCMを打ち出していたがまさにその通り。

-結局、努力は報われない。
-正義は結局勝ちはしない。

なんと夢のない話だろう。
そんな会社がPower of Dreamsなんて銘打ってるのだからなんとも皮肉である。

…あの、ギャグですからね。
CM見たことある人ならご理解いただけると思うが、最後にはやっぱり殴り込みかけて名実ともに世界を取って来た会社の言うことは違う。

閑話休題-

万人に愛されるモノを作るメーカーと違い、自分の仕事は自由度が高い。控えめに言っても高過ぎる。

その時目の前にいるお客様を満足させてしまえばある意味勝ちなので、材料があってご予算が許すなら割となんでもやる。
勿論出来る範囲で。
ラーメン?餃子?
中華ご紹介しますんで、そちらへどうぞ。

稀に困るのが、私をイメージして何か作って下さいと言われる時だ。
初見でいつもの下さいと言われるより何百倍もマシなわけだが、はっきり言って常連さんやら見知った仲ならまだしも初対面で何しろってんだと思う事があった。
まぁ、何かしら作ってたけども。

なので精神衛生維持ならびにツカみのキッカケとして

「私に似合うカクテルと仰った時点でビールお出ししますので(ニッコリ」

なんて素敵なワードなんだろう。

別に作るのが嫌なわけではない。
適当に作っても当たるだろうし、それで満足していただける自信がないわけではない。
真面目すぎると言われるが、コレばっかりは性分だ。

お前のことなんか知らんわいな。
けど折角来てくれたんやから美味いもん作るわいな。
全く身勝手であることは百以上に承知している。

だが、限られた材料の中で作られる一杯にどれだけの労力が裂かれたのかを一度考えてもらえれば幸いである。
「プリン下さい!」と言われても喜んでお作りしますんで。