なぜだかさ、バイト中にこれの音楽が思い浮かんできたんだ。
胸がきゅうっと締めつけられて、
口ずさんでから、口笛を吹いたりしたんだ。
帰ってきてたまらなくなって、見てしまって
ゴンドラを横切るシーンで涙が出てしまった。

これこそファンタジーじゃないかって思うんだ。
僕が口笛でメロディを包んだとき、
頭を駆け巡っていたのはハードでもソフトでも、当時の現実でもないんだ。
雄大に空に構える金色の街の神々しさと恋の切なさだったんだ。

涙が出たのは一瞬で

嗚咽を漏らしたのも一瞬で

なんでだろう。それが嫌なんだ。

きっとファンタジーは採算性でも、企業力でも、技術力でもなくて、
夢から生まれるんだ。
夢からしか生まれないんだ。

世界から夢は無くなってしまったんだろうか。

なんでだろう。いつまでも夢を追いかけていたいんだ。

夢の毛布に包まれて

夢を見ていたいんだ。




三次元の描写が素晴らしければ素晴らしくなるほど
僕らは興味深くそれを眺める。
だけど人の描いた夢は、人を包みこむんだ。
人は描かれた夢から言葉に収める事のできない景色を見下ろすんだ。