1961年佐川プロダクション製作 大宝配給
「狂熱の果て」
山際永三監督

あらすじ
高校生の牧野ミチ(星輝美)は、歪んだ家庭環境への反抗から六本木族と呼ばれる無軌道な青春グループに加わるようになった。ある日六本木の終夜営業レストランで、トランペット吹きの陽二(藤木孝)と知り合う。

六本木族を描いた作品で山際永三初監督作品です。
六本木族とは裕福な家庭の子女が暇を持て余して六本木周辺で遊び歩く集団です。

予想もしなかった「狂熱の果て」がDVD発売されたので、早速購入しました♪


大宝は倒産した新東宝の後継会社として設立されたそうですが、出来た経緯は新東宝作品を上映していた映画館から、映画を上映出来なくて困ると苦情が殺到したので、新しい会社を作って映画館に配給するようにした様です。

佐川プロダクションは新東宝のプロデューサーだった佐川滉さんが設立した会社で、佐川さんは星輝美さんを映画スカウトした方です。


牧野ミチ(星輝美)
星輝美さん最後の主演作品になるわけですが、主演3作品全て高校生役でした。
※「少女妻 恐るべき十六才」では疑似高校生でしたが。
中々クールな役柄で良かったですよ。


ミチの父親(中村彰)は、戦犯になった後遺症で肉体も精神も病んでしまい、自殺未遂を繰り返し、遂に病院から飛び降り自殺してしまいました。


中岡陽二(藤木孝)
トランペット吹きですが、六本木族の中では少し異端な感じ。
藤木孝さんはこの作品が俳優デビューになるのですが、少し前に渡辺プロダクションから歌手デビューしていて、渡辺プロの渡辺美佐(当時副社長)が六本木族を売り出したい意向があったらしく、そういう流れで輝美さんの相手役に選ばれた様です。

正真正銘の新人ですので、台詞は如何ともしがたいですが、オーラは凄く出ていて、長年俳優として活躍出来たのも頷けます。


野村健次(松原緑郎)
大企業の社長の息子の大学生で、六本木族のリーダー
冷酷非情な性格で、松原緑郎さんが演じた中で一番の悪役かも?


北茂 (鳴門洋二)
彼の父親はミチの父親と同じく戦犯になり、しかも処刑されてしまったので、ミチの家に引き取られますが、ミチの母親と関係したり、ミチを狙って何度も襲います。


アキ子(秋本まさみ)
ミチの友人役の秋本まさみさんは、この作品の原作者で新東宝でも脇役をやっていた様ですが、山際監督は記憶が無い様で、トークショーでも別の役柄を答えています。
しかし、藤木孝さんはよく覚えていて、自分の姉の友人で玉川学園の演劇部のスターだったそうです。

輝美さんの話では、彼女は六本木族の中心グループの野獣会(六本木野獣会)の創立者らしく、現役の六本木族が出演していたということになります。


川村真紀子(奈良あけみ)
奈良あけみさんの役は人気女優の川村真紀子

実際に六本木族=野獣会は大原麗子、中尾彬、井上順等後に
有名芸能人になった人々も参加していました。

のり子(松浦浪路)
野村健次の妹役ですが、出演シーンは少なかったです。
松浦浪路さんは、この後の大宝作品「黒と赤の花びら」で引退した様です。


車に轢かれる漁婦(五月藤江)
野村健次ら六本木族は葉山に向かう途中で老婆をひき殺して
しまい、それを見ていた漁師も崖から突き落とします。

五月藤江さんは当時東映に移籍していた様ですが、僅か数秒のシーンだけに参加しています。
しかし、いつもながらインパクト絶大です。


山際永三監督が考案した、この映画の見どころになる、アウシュビッツ収容所のユダヤ人の死体の山を模した「アウシュビッツ遊び」


二人は野村健次のモーターボートを無断使用し、ガソリンが切れるまで走り漂流してしまいます。
モーターボート上での二人のキスシーン。
私の一番好きなシーンです。


野村健次らは漁師殺人の罪を中岡陽二になすりつけ、陽二は警察に逮捕されますが、素行の悪かった陽二の弁明を聞かない刑事を鈍器で殴り殺してしまいます。

逃走中の陽二に会うミチ
果たしてミチはどうするのか?


衝撃的なラストですがネタバレは止めておきます
出来ればDVD買って観て下さい(笑)

最後の輝美さんのシーンです。


このDVDには本編の他に劇場予告編や山際監督の短編集、そしてシネマヴェーラ渋谷で行われたトークショーも入っていました。

このトークショーには行けなかったので、DVDで観れて良かったです。


最後に「狂熱の果て」DVD紹介動画を貼っておきます。