今回紹介する作品は
1967年(昭和42年)松竹
「純情二重奏」
梅津明治郎監督
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あらすじ
信州の孤児養護施設「みどり園」の保母高山栄子(倍賞千恵子)は、母きくが死ぬ時に残した日記帳を見て意外な事実を知った。日記帳には栄子の父が、現在の作曲界の重鎮河田武彦であることが記されていた。
倍賞千恵子・美津子姉妹の本格共演で、美津子さんの映画デビュー作です。
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高山栄子(倍賞千恵子)
歌謡映画という事で、歌が上手い千恵子さんの歌声も堪能出来ます。
これだけ歌う千恵子さんを観ることが出来る作品は無いと思いますよ。

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栄子は165系(169系?)の急行電車で父親が居る東京へ。

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栄子の父親で作曲界の重鎮河田武彦(北竜二)
栄子は母親の日記を見せ、自分が娘だと告白するが、「家庭の事情」で、今まで通り父親は無かった事にしてくれ!と自分勝手な言い訳をされてしまいます。

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河田八千代(倍賞美津子)
河田武彦の娘だが、秘密があった。
父親の居るレモンレコードの歌手で典型的なわがままお嬢さん。後に高山栄子のライバルになる。
この写真が映画デビューの初登場シーンです。
倍賞美津子さんは松竹歌劇団出身だったので、歌は上手かったというより、想像以上に上手かったです。
こういうキャラは美津子さんにピッタリ。

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関一郎(吉田輝雄)
河田武彦の弟子で新進作曲家
街で栄子が関の作曲を批判した事から知り合います。
所々臭い台詞もありましたが、石井監督作品で慣れている吉田さんはへっちゃらでしたね。

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父への反発からか、栄子は関に歌手志願し、レモンレコードでレッスンを受けます。
個人的には、栄子が段々と歌が上手くなっていくシーンが一番好きでした。

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レモンレコード所属の歌手として高峰三枝子さんが「ひとり花」という歌をレッスンするシーンが。
実はこの作品はリメイクで、高峰三枝子さんが高山栄子役を演じているのですね。
当時の観客は皆知っていると思うので、大変なサービスシーンだったと思いますが、私は高峰三枝子版は観ていないのです。
そしてこの映画の主題歌・純情二重奏も高峰三枝子さんが歌っています。

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恋愛シーンはあまり無いのですが、白樺をバックに栄子と関が歩くシーンは、松竹メロドラマ風です。

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関が好きな八千代は、栄子に肩入れする関と口論になるが、ここで関は栄子が八千代の姉である事を伝える。

しかし、それだけではなく八千代は河田武彦の実子では無く、河田は恩師の為に恩師の身重の娘と結婚したのだった。

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遂に倍賞姉妹の対決が!
といっても一方的に美津子さんが罵るだけでしたが。

昔、河田武彦が栄子の母に書いた詩を関が作曲し、河田武彦が編曲した自信作「たそがれの母情」も、栄子が歌うはずだったのに、祖父になる河田武彦の恩師に取り入って八千代の物にしてしまいます。
栄子は歌手を辞め郷里の信州へ帰ってしまい、新人賞対決は八千代に決定します。

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レコード芸術祭賞(レコード大賞)のゲストで扇ひろ子さんが歌います。
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森進一さんもゲスト
当時デビュー一年目の森さん。若い!

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新人賞受賞曲「たそがれの母情」を歌う八千代は、客席に栄子が居るのを見つけて歌を止めてしまいます。
実は、河田武彦の実子で無い事を知った八千代は、信州に帰った栄子を呼び寄せのだった。
そして、自分はこの歌を歌う資格がなく、栄子こそが歌うべきだと言います。
ここで倍賞姉妹が和解成立。
「たそがれの母情」の一番は栄子が歌い。
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二番は八千代が歌いました。
美津子さんが歌うとブルース調になるんです(笑)
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そして三番は倍賞姉妹のデュエット音譜
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演奏を指揮した河田武彦も涙ぐみます。

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ラストシーンは倍賞姉妹のダンスでした。

あとがき
今回紹介した「純情二重奏」リメイク版は、倍賞姉妹の映画初共演&美津子さんの映画デビューという話題も満載なのに、ネットを調べるとほとんど情報もなく、チャンネルNECOで放送されても、あまり話題にもなっていないのが不思議です。

作品の出来も、昭和40年代の松竹が制作した歌謡映画の中では上位だと思うのですけどね。

高峰三枝子さん版の出来ばえがあまりにも良かったから霞んでしまったのでしょうか?
一度は高峰三枝子さん版を観てみたいです


動画は高峰三枝子版のハイライトシーン