今回紹介する作品は
1961年(昭和36年)新東宝
「恋愛ズバリ講座 第三話 好色」
石井輝男監督
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あらすじ
結婚詐欺師のミツオ(沖竜次)は、資産家の女と結婚後、事故と見せかける殺しで相手の遺産を奪っていた。
そして次のターゲットは、母親の遺産を持つ幼稚園の先生のケイコと決まった。

恋愛ズバリ講座の最後は、石井監督によるブラックコメディです。

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悪辣な結婚詐欺師のミツオ(沖竜次)
オムニバス映画の一作ですが、遂に沖竜次さんが事実上の主役に抜擢されました。
東映から移籍後、一脇役に過ぎなかった沖さんは、昨年頃から目覚ましい活躍で、このまま新東宝が潰れなければ、かなりの地位まで登りつめたことでしょう。

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顔面神経痛の女(万里昌代)と結婚式を挙げる沖さん。
この後のハネムーンで、自動車事故に見せかけて殺害します。
自分も腕を骨折するリアルな芝居で、かなりの知能犯です。

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神父役には嵐寛寿郎さん。
この作品には石井組の俳優が多数出演していました。
アラカンさんは「女王蜂と大学の竜」に続き未だ二作目の石井監督作品ですが、すっかり石井組の一員になってますね。

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沖さんの妹役を演じますが、実は内縁の夫婦だった魚住純子さん。
魚住さんが殺害相手の情報収集をします。

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母親の遺産を相続したケイコ(三原葉子)
都内で幼稚園の先生をしていますが、東北弁丸出しの引っ込み思案な女性で、沖さんと満足にダンスすることも出来ませんでしたが。
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お酒が入ると性格が一変し、下着姿でダンスを披露します。
三原さんにはこういうシーンがなけりゃね。

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会場には吉田輝雄さんが本人役で出演。
酒に酔った三原さんに絡まれ、「あなた、昨年新人賞取った吉田輝雄でしょ」と言われます。

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三原さんにはネリカン帰りの弟タケシ(浅見比呂志)がいた。
浅見さんも沖さん同様、脇役専門から伸びてきた俳優で、こちらは沖さんよりいち早く主役を経験しています。

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三原さんのグラマーさや性格の良さに参ってしまった沖さんは、本当に三原さんと結婚したいと思い、邪魔な魚住さんを崖に呼び出し殺そうとします。
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恐怖で顔が引きつる魚住さん

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魚住さんを殺害後、三原さんの部屋に行くとベッドに二人が・・・
実は二人は恋人同士で、沖さんの上をいく悪党でした。
悪党とバレたら東北弁は止めて標準語を話す三原さん。全て沖さんを騙す演出でした。
激高する沖さんの頭を、浅見さんが金棒で殴って殺害。
遺体を処理する時に浅見さんは、「女体渦巻島」で歌ったアレを歌います。
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最後は三原さんが明るく解説します。
かなりブラックですねー

あとがき
沖さんの主役ぶりも印象的ですが、やっぱり三原さんが素晴らしい。
東北弁を話す役は初めて?かな。盛岡出身だから東北弁が上手いのは当たり前だけどね。

でも酔っ払って下着姿で踊る場面が一番の見どころですね。


大蔵社長退陣後、1961年に新生新東宝としてスタートしたわけですが、興業収入は惨憺たるもので、早くも経営危機に見舞われます。
輝美さんのインタビューでは、もうこの頃から東映移籍の話があったそうです。



最後に「恋愛ズバリ講座」予告編動画を貼っておきます
冒頭で並んで歩く11人は、「恋愛ズバリ講座」に出演した俳優たち
右から、星輝美、松原緑郎、小畑絹子、天知茂、池内淳子、宇津井健、大空真弓、菅原文太
三原葉子、沖竜次、魚住純子です。