U-21スペイン代表が、欧州制覇を成し遂げた。
この大会、FWアドリアンは得点王に輝き、大会最優秀選手に。
MFチアゴは大会後にバルサでの契約延長を勝ち取り、
MFアンデル・エレーラも大事な場面で得点を挙げる勝負センスを証明した。
しかし、この大会で際立ったパフォーマンスを見せた選手が、1人挙げるとするなら。
MFハビ・マルティネス
僕は、彼の名前を挙げたい。
今回は、彼のプレーから、現代フットボールに必要な要素を
切り取ってみたい。
≪時間を支配するボランチ≫
スペインは、4-1-4-1のシステムで、大会を戦った。
この「1」の位置に、文句なしのレギュラーとして君臨したのが、J・マルティネスだ。
彼は、
ゲームオーガナイズ
というより、
ゲームコントロール
に腐心した。
ゲームをコントロールするには、
時間を支配することが必要不可欠だ。
時間を支配するために、
彼は、
・ボールを早く捌くこと
・相手を潰し、自分の空間でプレーを切ること
を徹底した。
自分の空間で、
時間を使わないことが、
他の空間での時間を生み出すことにつながったのだ。
また、自分は他の空間での成り行きを俯瞰しているため、
その時間を支配することが、より容易になる。
もっと、具体的に。
J・マルティネスが、1タッチ、2タッチでチアゴにボールを預ければ、
チアゴは早いタイミングでボールを受けることができ、
自分の周りのスペースを確保できるし、時間があるから周りを見渡す余裕もできる。
逆に、相手のボールになったとき。
J・マルティネスが、中盤の位置でボールを奪取すれば、
後ろのディフェンスラインの選手は、自分たちが対応する手間が省けたため、
時間に余裕を持って、次のプレーに移行することができる。
こうして、
J・マルティネスが、自分の周りのスペースで、
早くボールを捌き、相手を潰すことによって、
味方に時間を与えることができる。
この作業を、着々とこなし続けることで、
J・マルティネスは時間を支配するボランチに進化した。
スペインのルイス・ミージャ監督は、
1ボランチにJ・マルティネスを起用することで、
同選手の潜在能力を引き出し、
将来のスペイン代表を見据えたうえでも、
新境地を発掘したのだ。