現在、キリンカップを戦う日本代表。


「3-4-3」というシステムが、やたら取り沙汰されている。


自分は、そこに違和感を感じざるを得ない。




システムは、選手配置であり、並びでしかないと思う。


本田が「サッカーは、数字でやるものではない」と言ったらしいが、同意だ。




「はっきり言って、システムでサッカーの良し悪しを論じる人は、サッカーのことをわかっていない人だと、おれは思う」(中田英寿 『誇り』より)






僕も、以前システム論に疑問を投げかけたことがあります。

「だからシステム論は嫌い」

http://ameblo.jp/barcelonanosyasou/entry-10684847386.html






システムで、サッカーが曖昧になってしまうのが、個人的には嫌いです。


「サイドを有効に使えるのは、3-4-3だから」なんですか?


「最終ラインを高く保てないのは、3バックだから」なんでしょうか?




そういった向きを、欧州では聞いたことがありません。


欧州の選手たちは、もっともっと、タフです。



4バックだろうが、3バックだろうが、やられれば自分の定位置は奪われます。代表だったら呼ばれなくなるし、所属クラブだったら放出されてしまうでしょう。


1試合でどうこう、という話ではありませんが、その配置で安定したパフォーマンスを示せなければ、間違いなくプレー機会は剥奪されます。



だから、彼らは頭を使う。



3バックだったら、ラインを押し上げ過ぎないとか、4バックだったらサイドバックが上がったところをボランチにカバーさせるとか。無論、それは監督の指示でもありますが、つまり彼ら選手は、試合中にシステムを自らの手で動かしていく度量を兼ね備えているということです。




現在の日本代表における報道の向きや、選手のコメントなど(本当にそう言ったかはわかりませんが)を聞いていると、少し脆弱な部分が見え隠れしてなりません。




「新システム不発」


という報道とか、



「最初は、このシステムで自分がどう動いたらいいかわからなかった」



とか、ナンセンスだと、個人的には思います。




もちろん、日本独特の気遣いだとか、周囲への選手の配慮、さらには誰にでもわかりやすい報道を心掛けるなど、理解できます。



ただ、すべての報道がそちらに流れていくと、おもしろくないなぁ、と。




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そこで、自分の見解を少々。



おそらく、ザックはこのシステムを成熟していくことなど、考えていないでしょう。



同監督は、2年間(あるいはすでに契約延長を見越して4年間)のビジョンを描いて、仕事に従事していることと予測します。



このキリンカップの意義も、おそらく賢明な同監督は、すでに理解しているでしょう。



シーズンオフに入って、海外組も招集できる、この大会。


アジアカップ制覇後の、最初の大会。



チームには、“刺激”が、必要でしょう。



だから、ザックは、3-4-3を採用した。


僕は、そう考えます。




同チーム(代表)で、ガラッとシステムを変えるメリットがあります。



・監督のコンセプトの重要なポイントを、落とし込むことができる



システムが変わっても、監督のコンセプト、目指すサッカーというものは変わりません。


システムが変わることで、その本質は、より浮き彫りになります。



例えば、「サイド攻撃」をコンセプトとした場合、ポイントになるのは「いかに深みを獲得するか」です。つまり、いかに深い位置からクロスを上げられるか。これは、アジア杯では、要所でできていたのではないでしょうか。



アジア杯では、4-2-3-1で、サイドで数的優位を作りやすかった。サイドバックがオーバーラップすればいいですからね。比較的、容易です。



3-4-3では、どうするか。DFは上がれない。サイドMFが上がるにも、サイドのスペースは近いし、詰まっている。タイミングも、計りにくい。



でも、これで「サイド攻撃」ができなくなったら、本末転倒なんです。



むしろ、これでできなくなったら、それは「コンセプトが落とし込まれていない」と、本質が浮き彫りになります。





また、ザックは、これによって「できる選手」と「できない選手」を“観る”ことができるでしょう。



見極め、が可能になります。




だから、今回の3-4-3システムは、現時点では、単なる「刺激」であり、「変化」であり、「テスト」であると、思います。




これを、今後の日本代表の主軸にしていこうと、ザックはあまり思っていないんじゃないかなぁ、というのが僕の意見です。