現代サッカーの流行システムに「0トップ」と呼ばれるシステムがある。
しかし、この呼称だけが一人歩きしている気がしてならない。
つまり、「0トップ」=「守備的」と、誰もが思ってしまっている。
そこで、今回は、この「0トップ」を採用する複数チームの“違い”について考察してみたい。
攻撃的「0トップ」
①FCバルセロナ
ここ2年で、ペップ・グアルディオラ監督が発明した、バルサ型0トップ。
少し極端に、布陣を。
ビジャ ペドロ
メッシ
イニ シャビ
ブスケ
アビ プジョ ピケ D・アウ
バルデス
<メリット>
1、メッシが自由になる
FWメッシは、以前は右WGに配置され、主に突破の役割を担うことが多かった。
この「バルサ型0トップ」(別名:メッシ自由化システム)をペップが開発してから、メッシは自由なポジショニング、自由なプレーが許されるようになった。ただ突破するのではなく、ワン・ツーやスルーパスといった選択肢を、メッシ自身が持つことによって、より相手にとって脅威を与える選手に。
2、中盤での数的優位を作りやすい
バルサのボール支配率の高さは、誰もが知っているところ。ボールポゼッションを促進するチームの課題は、「どこでボールを保持するか」。つまり、「どの位置でボールを(チームで)持つことができるか」。
ボール支配率が高いチームに起こりがちなのが、“DFラインでダラダラボールを回してしまうこと”。
ボランチを経由しながら、<ヨコ>にボールを動かしはするものの、一向に<タテ>にボールが入らず、前進しない。
ビルドアップが、ビルドアップとしての役割を失ってしまうパターン。
「バルサ型0トップ」は、中盤での数的優位を作りやすい。メッシが引いきて、バルサのビルドアップ時にCBがボール保持しながら“運ぶ”ドリブルで上がってくれば、一時的に中盤の枚数は6枚にすることも可能となる。
一時的な中盤の6枚:ピケ(ボール保持者)、D・アウベス(高い位置をとる片方SB)、ブスケッツ、イニエスタ、シャビ、メッシ(引いてくる)
これにより、中盤でのボール保持が、比較的容易に。つまり、「ボール保持位置が、高くなる」。
ボールを保持するチームが、最も陥りやすい、ディフェンスラインでのボール回しの停滞。
これを、この「中盤でのボール保持=ボール保持位置を高くする」ことによって、解消する狙いがある。
<デメリット>
・カウンターに弱い
これは、リスク。
中盤に人数をかける分、ディフェンスラインの人数は減り、守備は手薄になる。
バルサの場合、プジョルがいるかいないかで、失点の確率は全然違う。
右のD・アウベスが上がる分、さらにピケなどCBも一人上がった場合、アバウトなロングボールでもカウンターが成立してしまう。
さらに、そのカウンターの質と精度が高ければ高いほど、バルサの守備陣は追いつけず、決定的なピンチを防ぎきることができなくなってしまう。
バルサの場合、「取られたら取り返す」スタイルでのサッカーを志向する。だから、デメリットをメリットが上回ることができれば、「バルサ型0トップ」は有効に機能していることになる。
さて、ほかのチームの「0トップ」も考察したいのですが、それはまた今度w