どう考えてもこの試合が今季のリーガで一番参考になったので、遅ればせながらこれを基準に少しフットボールを考察してみようと思います。ペップも「今季これまででこの試合が一番苦労した」と言っていましたしね。これか、相方がスタジアム生観戦したバレンシア戦か、ですね。バルサに勝つ可能性を示したのは。


バルサ目線で見て行きたいと思います。



・「壁」と「的」



前回の記事http://ameblo.jp/barcelonanosyasou/entry-10710273340.html から、前半は五分五分。一進一退の攻防。主導権の握り合い。


後半、バルサは手を打ってきた。


マルチェナのフィードによって、押し込まれるシーンが目に付いたバルサ。そこで、ペップはブスケッツにポジションを上げるように意識的に指示。


これを意識することによって、例えばGKバルデスから右SBアウベスへのフィードが出たとき、ブスケッツはすでに横にサポート。


さらにこれにより、チャビのポジションも必然的に上がる。


この指示が、バルサのフットボールに決定的な効果を一つ与えた。




・「壁役」ブスケッツがそばにいるから、チャビがあえて「的」になれる



バルサは明らかにボールを意識的にチャビに集め始めた。チャビは、前半よりすでに高い位置をとれているため、ボールを受けたときはハーフライン付近。前半は自陣で受けざるを得ない状況も多かったが、これを排除。


またその時、常に横にブスケッツがサポート。


ブスケッツという選手は、派手さこそないものの、「フットボールを理解している」選手。攻撃でも守備でも“いるべきところに、必ずいる”。



ブスケッツのサポートを得ることによって、チャビはボールを受け、余りにもDFが自分に食い付いていれば、ブスケッツにパス&ゴーして再びボールを受ける術を得ることができる。



そしてそのオプションを持ち、相手DFが迷い始めたりうんざりしてきたときに、このCrackは飄々とした顔でドリブルでDFをはがすorタテパスorキラーパスを前線に送り出す。




この行為がバルサの攻撃に最高のリズムをもたらす。



ここでリズムを作れば、あとはメッシ、イニエスタが決定的な仕事を確実にこなす。しかし、バルサのフットボールの心臓は、間違いなくこのチャビのプレーにある。



そしてチャビが生きるためには、ブスケッツが生きなければならない。



チャビのポジションが上がれば、必然的にバルサのポゼッションの位置は高くなる。心臓の位置が変われば、血液の循環も変わる。スピードアップするところも、リズムをチェンジするところも、変わる。



ブスケッツは、いつもチャビのポジションを見て自分のポジションを決める。チャビがフリーでボールを受けられれば、無作為に近づくことは決してしない。チャビの持てるスペースが潰れてしまうから。



ブスケッツは、常にチャビにとっての「壁」としてピッチの中に“存在”する。そしてその存在が、バルサのボール回しの循環を圧倒的に良くしている。



「壁」があるから、チャビはあえて「的」になることができる。



ビジャレアルは必死にこの「的」を潰そうとする。しかし、「的」は囮である。そして、「的」は「壁」の存在により、移動を可能にする。つまり、「的」になり、相手DFをわざと引きつけ、「壁」を使うことで、「的」の位置を変え、上げるのである。


これにより、「的」を絞っているようで、そのダミーに踊らされ、ドンドン「的」をズラされていく。


「的」にすることによって、相手DFをあえて密着&集中させ、そこを剥がし、突破するのである。



前回も書いたが、圧縮して的を絞っているということは、そこを剥がせば一気にスペースは広がっており、チャンスに向けて打開できる。





これを意図的にバルサは実行。




「わざと食い付かせて一気に剥がす」




これを自分たちの本当に使いたいスペースに向けて、ポジショニングと、人と、数勘定をMixさせて実行する。



「壁」がいることで、あえて「的」を作り、「的」をダミーに相手を翻弄し、試合をグチャグチャに壊す。主導権を手繰り寄せる。これがバルササッカーのはまった時の強さであり、怖さだ。



そして調子の良いときのバルサの仕上げはというと、次回に続くのである(笑)