先週のリーガ第8節より。


ポイント オブ チェック(試合前予想)



①ヘスス・ナバス不在のセビージャが、いかにサイドを制圧するか



②マンサーノ新監督の好む“トップ下”を4-4-2主体のセビージャにどう落とし込むのか



③エスクデ(休養)・スキラッチ(今夏アーセナルに放出)という2枚看板のCB抜きでどう守備するか

 (注目:ラインコントロール、インターセプト)









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《結果・実際に起こった現象・分析》



①ヘスス・ナバス不在の中でのサイド制圧



②マンサーノのトップ下





 


これはほぼ同じ現象を引き起こした。


セビージャにとって、サイド制圧は最早問題ではなかった。


<1>

サイド制圧のために、⑫カヌーテがペナルティエリア角付近で「タテの動き」を繰り返す。つまり、ウラに出るか、クサビに受けるかを繰り返す動きをする。


つまり、“逆説的に”トップ下のスペースが空いているからこそ、カヌーテがその前後のスペースを最大限に有効活用している。


「フットボールの教科書を頭にこしらえている」と評されることのあるカヌーテ。彼のインテリジェンスはとんでもないレベルだ。



その動きを、高い位置でできるところに、カヌーテの優秀さが集約される。



<2>

その“ゾーン”を感じ取る2人の選手。


⑪レナト

⑤フェルナンド・ナバーロ



⑪レナトは要所要所にすっと顔を出して、スパンとタテパスを入れる。


⑤F・ナバーロはスペインの典型的なSBよろしく、高い位置で適度なポジショニングでサイドハーフとピボーテの“壁”としての役割を果たすサポートを試合を通して徹底。さらに優秀なのが、相手陣内に入って7M付近から簡単に低いアーリークロスをFWの足元に入れる。



<3>

その“ゾーン”=トップ下のゾーン


この3人の一連の動きが、徐々にゲームを“壊していく”。


セビージャの1点目。


左サイド高い位置で受けた⑯カペルが、仕掛けながら低めのクロス。


⑫カヌーテが、フリーでボレー。も空振り。


そのこぼれ球を、⑩L・ファビアーノが強引に押し込んだ。ゴール。


・・・ストップ。


巻き戻し。



左サイド高い位置で受けた⑯カペルが、仕掛けながら低めのクロス。


⑫カヌーテがフリーでボレー。も、空・・・


ストップ。



フリー?


なぜ、PA内で⑫カヌーテがフリーになるんだ?




《壊されたゲーム》


⑫カヌーテがずっと「タテの動き」で、⑪レナトが入れるタテパスで、⑤F・ナバーロが入れるアーリークロスで



無意識のうちに、ビルバオDFラインがラインを下げてしまった



目に見えない効果が、徐々に侵略してきていた。


あの一瞬、左サイドにあるボールに対し、ラインを“下げすぎてしまった”。


この一瞬空いたスペースを、⑫カヌーテは見逃さなかった。馬鹿みたいにゴール前に飛び込んでいく「猪突猛進型ストライカー」たちの常識を覆すような、ゴール前で「待つ」動き、ポジショニング。


この一連の動き、また1得点という結果が、十分にセビージャのサイド制圧の効果を表していた。




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③セビージャの守備


この日のCBは④カセレスと23アレキシス。


23アレキシスがすごい良かった。


今季バレンシアから来たんだけど、バレンシアにいた時は、正直あまり好きじゃなかった。去年バルサ戦でメッシにチンチンにされたときの対応があまりにも稚拙だったもので。。。


見直したね。


ビルバオのジョレンテとトケーロに対して、“前で”行く守備。以前言ったように、インターセプトじゃ、温い。それを体現してくれた。


「ガッツリ」前で止める。


それをハーフラインくらいから意識してやってるのが、すごく良かった。



あの屈強な2人に対し、浮き球であろうが何であろうが、「先にボールに触る」意識。



あれは、あのクラスでは「ベース」の守備。あれができていれば、リーガでもある程度の相手なら、「止める」ことはできる。


球出しはまだまだ課題だけど。でも、「できないから」取ってすぐにピボーテにつけるのは良かったと思う。あそこで探すと遅れるからね。受けても困るし、リズムもとりにくくなる。



ラインコントロールは、昨季ほどじゃないね。でも、無駄に下げる意識がないだけ、それも良かったと思う。



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試合結果はセビージャ4-3ビルバオ。


審判がばぐってPKを3度とるっていうかなりラテンな展開。ゲーム的にはおもしろくなかったね。でも、勉強になりました。