さて、久しぶりにイイ感じに相方とのリレー方式の記事アップに成功したので、ちょっと満足な僕です。


こうやってどちらも「相方、相方」って呼んでると、どっちがどっちの記事を書いてるかわからなくなってきますね。ふふふ。まさに狙い通り。まぁだいたい文体でわかるでしょうけどね。あまりにも違うから(笑)文章で言えば、僕は論理系で彼は感覚系だね。笑


今回のマッチリポートは、TV・スタジアム観戦という違いを生かし、また双方の目のつけ方が違ったことから総合してなかなかおもしろい記事になっているんじゃないかと僕個人的には自分でも思います。


ま、これで僕自身「フットボール脳」なるものが刺激をいただいたので、その勢いで今回書きます。



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「だからシステム論は嫌い」



相方のレポートにあったように、バルサは後半、「イニエスタ自由システム」(にしてもすごい名称だな。なんか他になかったんかい)を適用した、と。ビジャとメッシの2トップにした、と。


でも、TVから見ると、僕のノートの記録では、バルサが2トップにしたのは後半32分。後半12分にはすでに逆転していますので、その十数分後。「チャビとマスチェラーノが交代して、中盤を4枚に」と僕のノートにあります。


でも、実際生で見た感覚では、バルサが主導権を奪い取った要因に、「イニエスタの自由化」があり、それではすでに後半開始からイニエスタは中盤(トップ下)にいたことになる。




バルサの試合を見ていてもわかる通り、これまでのメッシのポジションは3トップの真ん中と偽り、実質トップ下。


しかし、そのときウィングに配置されたビジャやペドロ、ボージャンなどが2トップよろしく前線の中央気味にポジション取りするかというと、それはない。“Nunca”(絶対に)ない。流れの中ではあっても、それを基本ポジションには絶対にしない。ウィングは基本ポジションとしては開きっ放し。


で、その空いた真ん中のスペースを使うのが(相方の記述通り)ケイタの2列目の飛び出しとペドロ・ビジャのディアゴナル・ラン。




チャビも以前、この「メッシ3トップ真ん中システム」(相方よりは名称にセンスを感じないだろうか)について、「メッシが(ウィングにいるときより)近くにいる分、やりやすいよ」と語っていた。


そう、彼らの感覚では、「近くにいる」くらいのものなんだと思う。




こちらで生で試合を見ていると非常に感じることなのだが、「システム」なるものは崩してナンボ。ボールが止まったとき、リスタートになったときなどに取るべき基本ポジションとしての役割は果たすが、それ以上でも以下でもない。


以前中田英寿も言っていた。「試合が始まったら、システムなんてものは存在しない。3バックだろうが4バックだろうが、ボールにプレスに行くときはDFは3枚にも、2枚にだってなり得る」。




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試合は流れる。


その状況によって、「とるべきポジション」は同じ。


それはシステム論では図れない、「フットボールの本質」の一部。





トルシエは以前、当時センターバックを務めていた森岡に、こう諭した。


森岡:「守備のときに、いつも自分のゾーンに2人マークがいるので、どちらをマークしたら良いかわからない」


トルシエ:「それは、君の責任。君のゾーンは、君の責任。相手が1人だろうが、2人だろうが、守るべき角度・ポジションは同じだ」






この意味が、こちらに来てすごくよくわかる。


自分のゾーンに、相手が1人いようが、2人いようが、守るべき角度・ポジションを守っていれば、止められる。また、それができれば優秀な選手だから試合に出れるし、活躍できる。できなければ、試合に出れない。それだけ。


これは先日の“戦術”の話にも関わるけど、「じゃいつも君のゾーンで数的不利だから、それを改善するために戦術を変えて、5バックにしよう」なんて、よっぽど起こり得ない。


個人で、自分で、守らなければいけない。そのゾーンを、責任を。




そんなわけで。



「だから、システム論は嫌い」






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いやー、バレンシア戦、試合前に自分は「マテューの左WG起用」をずばり的中させましたね。



「バレンシアのトップ下排除」も、試合中の目のつけどころとしては悪くなかったかと。




ケイタはあまりのバレンシアのプレスの厳しさに、前線に出る仕事から中盤での“争点合戦”でバレンシアのフェルナンデスとフィフティー・フィフティーのルーズボールの拾い合いの仕事に腐心していましたね。



ああして試合の中で自分で判断してポイントを変え、つくり、試合に影響を及ぼせる選手こそ“優秀な選手”であると思います。あのルーズボールの如何でバルサのボールポゼッションが格段に変わるポイントでしたから。「バルサがボールポゼッションを高めるために」彼はあの“ルーズボール合戦”に挑んでいたのです。ほんとスゲー、ケイタ。



そんなところかな。





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サブタイトルの「思考の“再ベンチャー化”」は、ユニクロの創設者である柳井さんのお言葉からいただきました。



ユニクロを創設し、ある程度築き上げ、一度社長を譲った柳井さんは、その後3年で社長に復帰。



曰く、「ユニクロはベンチャー・スピリッツで衣服業界であそこまでのし上がったが、自分が社長を譲ってから“安定志向”が社内に渦巻き、2年後に“増収・減益”を出してしまった。それに危機感を感じた僕は『ユニクロの再ベンチャー化』を掲げ、もう一度会社を立て直そうと決意した」





「日本のサッカー(観)を、捨てる」をコンセプトに突っ走ってきたスペインでの生活も、3年。



気付けば、自分の中で新たに凝り固まった“コンセプト”や“常識”、“偏った見方”が無意識に構成されているような気がする。



というわけで、改めて「思考の“再ベンチャー化”」を図り、新陳代謝を推進しながら向上していきたいと思っている誓いの宣言でした。