相方がパソコンに弄ばれ、この試合のマッチレポートに失敗したようなので、こちらからTV観戦の模様を。


《バレンシアの4-3-2-1という名の4-3-3》


まさかのマタのスタメン落ち。


それが意味したのは、「トップ下の排除」。


バレンシアは中盤を3枚のセンターハーフという形。むしろ、フェルナンデスをアンカーに、アルベルダとバネガをその前の2枚の中盤として起用。


これは、まさか。


そう、バルサとまったく同型の“4-3-3”。



《ほぼマンマーク》


絶対に勝たなければならない試合。先に仕掛けたのはウナイ・エメリ。


同型の4-3-3をぶつけることで、ほぼ“マンマーク”を可能にした。


これがいかに機能したか。



《バルサ・バレンシア双方の攻撃・守備スタイル》


バルサ 攻撃:CB2枚とアンカーの3人でのビルドアップ→GKを使ってのビルドアップ(変更)

      守備:前線からのプレス


バレンシア 攻撃:GKを使ってのビルドアップ

        守備:前線からのプレス



《真っ向勝負》


これも、同スタイル。


というか、バルサ側がバレンシアのそれに合わせざるを得なかった格好だ。


例えばバルサは、前半開始時、2CB+ブスケッツの3枚でビルドアップをしたかったが、バレンシアのマンマークとあまりのプレスの厳しさにGKバルデスを使ってのビルドアップに変更。


これは、DFラインに横並びの3枚を並べてスペースを縮小しながら前に進むよりも、GKを使って自陣のタテのフィードを目いっぱいに使うことでそれぞれが自分の周囲にスペースを確保することで、バレンシアのマークを剥がそうとする狙いがあったため。


こうしてバルサはGKに戻したボールを、バルデスのフィードに頼らざるを得ず、バレンシアはこれをアンカーのフェルナンデスが尽く拾う、という形でゲームは展開した。



《バレンシアのスパイスポイントは“左ウィング”マテュー》


またこの日のラインナップでサプライズだったのが、マテューの左WG起用だろう。


これは明らかにダニ・アウベスの守備能力の劣りを狙った、バレンシア側の「サイド制圧」だろう。


バレンシアは「奪ったら速く」をコンセプトに、ボールをとにかく早く放す。


そして、前半38分。


このマテューが左サイドを突破。深い位置から低いクロス。パブロ・エルナンデスがこれを蹴りこみ、バレンシア先制。



《完璧だった前半のバレンシア》


このまま0-1、スコアレスリードで前半終了。こうして、バレンシアの最高の前半は締めくくられた。




《すべてを破壊した2人のCrack》


後半。試合の流れは、そう変わらぬように見えた。


しかし、バルサの2人のCrackが、この流れを完全に破壊した。


チャビとイニエスタだ。


イニエスタは、前半から何度か1対1の場面を作り出すも、バレンシアのSB、ブルーノにうまく押さえ込まれていた。


しかし、中盤のマークが甘くなった瞬間、その“間のゾーン”に入り込み、スルスルと運んで前進。マークが寄ってきた瞬間、中央のチャビに横パス。この横パスが、完全なるゴールへの「仕込み」であった。


“ボールウォッチャー”


バレンシアDFラインは、ボールに寄せる、ラインを上げる、もう一人のアタッカーのビジャへの注意などの役割分担を間違った。次の瞬間、イニエスタはフリーでバレンシアDFラインを突破。GKセサルと1対1。ゴール。バルサ同点。1-1。


無論、「針の穴を通すような」チャビのスルーパスがバレンシアDF4人を一瞬にして無効化したことは言うまでもない。


なんにせよ、これでハーフタイムにエメリがバレンシアの選手に落としこんだゲームプランは後半開始2分の時点でぶち壊しとなった。



《自陣に“引かざるを得なかった”バレンシア》


後半になり、バレンシアは自陣に引いての守備。


戦術を変えたのか?


否。


そうせざるを得なかったのだ。


いつものバルサの強み、「相手をゴール前に釘付けにする」攻撃。


それに、はまってしまったのだ。



《ピッチ上で、本当に起こっていたこと》


これは現地観戦の相方談。


僕は、TVで見ていてこの「なぜ」がどうしても解けなかった。


なぜ、あんなに前半良かったバレンシアが、サンドバック状態になってしまったのか。


同点にされて気が動転した?それも多少はあるだろう。しかし、それはフットボール的な観点で、正しくないはずだ。自分の直感が、そう訴える。


試合後、すぐに現地観戦の相方に電話した。


答えは、明白だった。



「ビジャの動きで、バレンシアのDFラインが下がった。何度もオフサイドになりながら、スペースに出たことで、バルサは深みを獲得した。アイツはすごいよ」



《歓喜の瞬間》


試合を支配したバルサに、歓喜の瞬間が訪れるのにそう時間は要さなかった。


後半17分。チャビのFKから“偉大なるキャプテン”プジョルのヘディング。


2-1。


その後も、バルサは何度もバレンシアゴールに襲い掛かった。


バルサは、完全に、ゲームを支配し、制圧した。


2-1のまま、試合終了。



《“うまくいきすぎた”ゲームプラン》

前半で先制したこと。それが、バレンシアのゲームプランを、どこか崩してしまったのではないか。そんな気がしてならない。


バルサ相手に、カンプ・ノウで、リードすること。

これ自体が「普通」ではない。


“異常事態”が、少しずつ、ゲームの歯車を狂わせていった。


守備をして、リードを守って。どう、守るのか。うまくいっている、前線からの守備。それを、続けるのか。体力が消耗していく。いつまで、続くのか。それとも、使い分けるのか。



0-0というスコアを守ること。そして、勝負所でマタ、アドゥリスを投入し、勝負を仕掛ける。


このゲームプランだった場合、バレンシアはおそらく、後半、前からの守備と引いての守備を使い分けて、バルサ相手に駆け引きをしたと思う。バルサ相手に、守備で仕掛ける。それが、バレンシアの狙いだったのではないかと思う。


《可能性を示したバレンシア》


バルサ相手に前半、素晴らしい試合をしたバレンシア。


可能性は、十二分に示した。


しかし、バレンシアは、CLのマンU戦でも85分まで「素晴らしい試合」を示していた。


ここに、今季のバレンシアの課題があるように思う。


ビッグクラブ相手に素晴らしいサッカーをするのだが、勝てないのである。


あのサッカーでは、勝てない。


バレンシアの試合を数試合見て、自分はそう感じた。



《なぜ勝てないのか》


では、なぜ勝てないのか。


それは、今後追って追求&リポートしていきたいと思う。



P.S.相方、ばぐったことの無念さの気持ちは理解しますが、是非その記事もしくはそれと同様の質の記事をアップしてください。この感情的なブログは「1」カウントにならないのであしからず。よろ。